腐った男子です。

□事件、2035室
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「……何を言ってるんだ?」

会長の言葉に、副会長は怪訝そうな顔をしています。

それはそうですよね。
言われた僕も、全く訳がわかりません。

しかしその発言の理由は、次に発せられた会長の言葉で判明しました。

「そいつは俺の親衛隊員だ。俺がどうしようが、玲に文句を言われる筋合いはねえよ」


こ、これが噂のジャ○アニズム……!?


とか言ってる場合ではありません。
何故かと言うと、副会長が信じられないといった顔で、僕を見つめていたからです。

「……良平くん、本当なの…?」

「あ、あの…、い、一応……。で、でも仮、なのですが………」

「………」

「ほら、嘘じゃねえだろ」

絶句してしまった副会長に、会長はどうだと言わんばかりの態度です。

「………本当に親衛隊員だからと言って、それで光輝のものってわけじゃない」

「兄さん…っ?」

「すまない、由比。今日はもうお暇するよ。………もちろん、光輝もだ」

「はぁ?」

「はぁ?じゃない。これ以上お前を良平くんと同じ空間にいさせるわけにはいかない」

何だか、とても大事になっています…。

「お見送りしますよ。戸波、良平に付いててやって」

「う、うん。わかった」

陽一さんに誘導されつつ、会長と副会長は剣呑な空気のまま部屋を後にしました。

残されたのは、今ひとつ事態を飲み込めていない由比くんと、呆然としたまま微動だにできない僕の2人です。

「りょ、良平くん……?」

「ほえ…?」

「あの、大丈夫……?」

大丈夫って、何がでしょう…?

首を傾げた僕に、由比くんは戸惑いながらもこう続けます。

「だって、会長に、その…、キ、キス……されちゃったんだよね…?」





はあぁぁぁぁぅぁ⁉︎
そ、そう言えばそうでしたー!!!

一瞬でも忘れるなんて、どうかしています!
オタクで地味な僕にとって、あれはファーストキスだったのです!

しかもまたしても当事者で、萌えられませんんんんん!!!


ガックリ肩を落として落ち込む僕を、由比くんは必死で慰めようとして下さいます。
それでも復活できない僕に対し、『あんなのカウントしなくていいよ!』から始まり、『犬に噛まれたと思って』を経て、最終的には『蚊に留まられたくらい』へ到達していました。

会長の例えがどんどん悪くなるのを聞いていて、由比くんもそこそこ腹黒いのではないかと思えてきました。

……何と言っても、副会長の弟さんですからね…。


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