腐った男子です。

□事件、2035室
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「良平」

「よ、陽一さん……」

会長達を見送り戻って来た陽一さんは、それはそれはいい笑顔で微笑んでいました。


………喜びまくっているのがダダ漏れです。


わかってましたけど!
陽一さんの反応なんて、わかってはいたのですけれど!

でも他人事だと思って、楽しみすぎではないですか!?

「いやー、いいモンみたわー。画像送ろうか? すっげイイ構図だったぞ?」

「い、いりませんんん!」

思い出したくもないのに、その証拠写真とか!
き、ききき気持ちいいとか思ってしまっただけに、よりいっそう落ち込んでしまいますから!

「市川くん! からかっちゃダメだよ!」

「ええ〜、でも〜」

由比くんが陽一さんをたしなめていますが、効果があるようには思えません。


どうして。
どうして毎回こうなのですか。

僕は生BLで萌える為に入学したのに、当事者になってばかりではありませんか。
こんなの酷いです。あんまりです。

「まぁ、あれだよ。良平」

「………?」

「これからもいい萌えの提供、期待してるから!」







よ、よ、よ、陽一さんの裏切り者ぉぉぉぉ!!!!!!





その後、とても試験勉強の続きなどできる状態ではなくなった僕はと言いますと。

陽一さんが自分の部屋から持ってきた『黒ヒゲ危機一髪』の樽にひたすらナイフを刺し続け、憂さを晴らすという行為に没頭していました。

きっと薄気味悪い光景だったと思いますが、もはや知った事ではありません。
僕は自分の精神衛生を守るのに、一生懸命でしたから。

やさぐれた心で、ビヨンと飛び出す黒ヒゲさんを眺めながら、密かな誓いを立てます。



ーーーもう金輪際、俺様会長モノには手を出さないでおこう、と。





後々の話ではありますが、この一件が『会長キス事件』と称され、陽一さんから幾度となくからかわれるようになったのです。
その詳細は余談と言う事で、流して頂きたいと思います。



………………シクシクシク。





 事件、2035室 end


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