腐った男子です。
□事件、2035室
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丁度休憩するつもりだった事もあり、副会長へは由比くんからOKのメールを返信してもらいます。
『すぐに行く』との即レスがあり、ものの10分もしないうちに、部屋の扉がノックされました。
「はーい」
今にも地面から浮き上がりそうな、軽い足取りで、由比くんが出迎えに行きます。
無意識なんでしょうね、あれ。可愛いです。
僕と陽一さんは机の上を片付けたり、4人分のお茶の用意をしていました。
「えっ⁉︎」
扉を開けた音がした直後、由比くんの驚いた声が聞こえました。
……何かあったのでしょうか?
「由比くん?」
タイミング的に副会長だと思っていたのに、違う来客だったのでしょうか?
「あの、ちょ…っ、ーー」
「ーー、いいーーろ、ーーー」
「ごめーー、ーーーーで、ーー」
バタバタと足音が響き、会話が聞き取れません。
っていうか、おかしくないですか。
声が多くないですか。
近付いてくる足音に、共同スペースへ繋がる廊下の先を伺ってしまいます。
そしてその足音と共に、あり得ない人物が顔を出しました。
「よう、邪魔するぞ」
………何故、生徒会長がここにいるのですか。
「本当にごめん……。部屋を出る時にばったり出くわして、行き先を告げたら着いて来るって聞かなくて……」
申し訳なさそうに謝るのは、会長の後ろから現れた副会長です。
前にも同じようなセリフを聞いた気がします……。
会長は副会長の気まずそうな顔を軽く無視して、胸を張りながらこう言いました。
「せっかく試験前で生徒会の仕事がないってのに、部屋でチマチマ勉強なんてしてられるかよ。息抜きしに出たら玲が遊びに行くとか言うし。ズルいだろ」
いえ、あの。生徒会の仕事がないのは試験勉強の為なのでは……。
そしてそんなに自信満々に、子供みたいな事を言わないで下さい…。
「諦めそうにないし、廊下で押し問答をしていても目立つから、とりあえず連れて来てしまったんだけど……。僕も含めて、やっぱり迷惑だったかな?」
試験前の今、副会長は自分がここに来る事だけでも、迷惑だろうと思っていたらしく。
けれどこういった時期じゃないと、生徒会が忙しくて時間が作れないとの事。
僕達は3人とも外部入学生ですし、そこまで必死に勉強しなくても大丈夫だろうと踏んで、今日の来訪を決めたそうです。
試験勉強中ではありましたが、確かに切羽詰まった状態でもありません。
副会長が予想した通り、まったりしてさえいたので、問題はないのですが。