腐った男子です。
□事件、2035室
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「とにかく、悪用はしませんよ。こんなの公表したら、良平の立場が悪くなる。友達をそんな目に合わせるなんて、俺も望んじゃいないんで」
「……信用できんのか、それ」
「もちろん。一筆書きましょうか?」
「いや、わかった。今後もしその画像が流出したら、落とし前つけてもらうってだけだ」
「了解です」
「とりあえず、その画像は俺にも寄越せ」
「ちょ、えええぇぇ⁉︎」
お2人の剣呑な空気に、口も挟めなかった僕ですが(当事者なのに…)、会長の予想外すぎる発言に思わず反応してしまいました。
あと今気付いた事ですが、会長は何故未だに僕の上から退かないのですか?
「あー、じゃあ後でメアドを…、」
「光輝!」
あきらかに怒りを含んだ声が響き、僕の部屋にいた3人がいっせいにそちらを見ます。
「副会長……」
「あー………」
怒りもあらわな副会長が、仁王立ちしてこちら、と言うか、会長を睨み付けていました。
後ろに由比くんの姿も見えましたが、彼は混乱した様子でオロオロとしています。
「良平くんに何をした」
「………えーと」
視線を彷徨わせ、口ごもる様子を見て、副会長の額に青筋が浮かびました。
「とにかく、今すぐそこから退くんだ!」
言われるままに僕の上から退いた会長は、降参とばかりに両手を上げ、副会長に向き直ります。
「ちょっとしたアクシデントがあったんだよ」
「アクシデント? 」
「そうだよ。中谷が転びそうになったから、庇ってベッドの上へ…」
「故意ではない? ならば不埒な真似はしていないんだな?」
その言葉に顔色を変えたのは、会長ではなく僕です。
さっきのキスを思い出し、顔が瞬間湯沸かし器ばりに火照ってしまいました。
「……何かしたのか」
「まあ…、ちょっと、キスだけ」
「……っ!」
会長の言葉を聞くなり、副会長は会長の襟元へ掴み掛かります。
って、ええぇ!?
何故そんなケンカみたいな…っ!
「いくらお前の下半身がだらしなくても、頭まで悪いとは思わなかった! 良平くんはお前とは違う! そんな事、少し考えればわかるだろう!」
いっそ般若のほうが穏やかだと思えるほどの形相で、そう会長に詰め寄る副会長。
ですが会長は怯む事なく、副会長の手を払って不敵な笑みを浮かべました。
「はっ、言ってくれるじゃねえか。けどお前に指図されるいわれはねえよ」
「何故だ!?」
「そいつはな。俺のモノなんだよ」
…………………はいぃぃぃ!?