憧れの人は変態でした。

□小話
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3周年記念リクエスト小話

彼方様リクエスト
【カプ】透×成親
【お題】休日の1コマ


 デートな1日


「さて、買い物終了〜。意外に早かったね」

ご満悦な様子でそう言った生田先輩に、同意しながら並んで歩く。
珍しくバイトがないという休日、さらに珍しい事に、一緒に外出していたりする。

何かと言うと部屋デート(シてるだけとも言う)が多いから、たまにはこんなのも楽しかった。

だから、

「もう少しウロウロするか? 他に欲しい物とかは?」

なんて問い掛けも、普通に出ていた。

他意はなく、純粋に買い物について聞いたのだが―――。

「ん〜。欲しいモノって聞かれると、速水クンって感じ」

………脱力していいだろうか。

「そうじゃなくて……、」

「あ、せっかくの外出だし、青姦とかしちゃう?」

バカ発言モードの先輩には、何を言っても暖簾に腕押し。
それはわかっているけど、何でシモにばっかり繋げるのか。

確かに青姦に興味がないわけではないが、って違う。
いやでもそれって、具体的にはどこでするんだ?
一般的には、やっぱ公園とかになるのだろうか。

発展場とか、風の噂で聞くしな。
ああ、でもあれって夜の話か。

「速水ク〜ン? まさか本気にしちゃったー?」

「……………………まさか」

ふいに現実に立ち戻り、否定した。
しかし変に空いた間のせいで、生田先輩はニヤニヤしている。

「速水クンのむっつりスケベ〜」

「なっ、そもそもはアンタが……っ」

「速水クンは将来絶対エロ親父になるよね〜」

今度は俺をからかうモードに入ったらしい先輩は、わざとかがんで上目遣いをしてくる。

………そっちがその気なら、俺にも考えがあるぞ。

ヒラヒラ蝶のように動いていた生田先輩の腕を、少し強めに掴んで引き寄せる。

「速水ク…っ」

「せっかくのデートなんだから、もうちょっと浸らせろよ」

囁くように、耳元へ落とした。

最初驚いていた顔が、みるみる赤く染まっていく。

俺は知ってるんだぞ。
アンタがこうやって、俺に強く出られるのに弱いって。


「…………ズルい」

予想通り生田先輩は、さっきまでエロ発言していたのと思えないほど、羞恥で顔を赤らめていた。

年上だけど、こんな顔を見せられると、可愛くて仕方なくなる。

「ほら」

「え?」

差し出した手を、キョトンと見返し俺を見上げる。
わかってないとこも、可愛いな。

「手、繋ごう。デートだからな」

「………っ!」

大きく開いた目が、次の瞬間、嬉しそうに細められていた。

「うん……っ」

ギュッと指先を絡め、繋がれた手。
子供みたいにはしゃぐ様子に、笑みが零れた。



 end

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