憧れの人は変態でした。
□小話
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3周年記念リクエスト小話
匿名様リクエスト
【カプ】透×成親
【お題】お仕置き(裏)
それもスパイス?
「ね〜、速水ク〜ン…」
「…………」
「ね〜、速水クンってば〜」
猫撫で声を出し続ける生田先輩を、完全シカト中の今。
俺は生田先輩に押し付けられた、官能小説を熟読している。
いや正確には、熟読してるフリをしていた。
事の発端は、30分ほど前。
先輩がバイトから帰宅する時間に合わせ、先輩の家を訪ねてすぐの事だった。
『速水クン、これ読んで! スゴいの、超オススメなの!』
テンション高く押し付けられた文庫本は、いかにもいかがわしいタイトルの官能小説で。
会ったらすぐにでもイチャイチャしたかった俺は、いわゆるお預けを食らった形になる。
思わずキレそうになったけど、ある仕返しを思い付いた。
そっちが焦らすつもりなら、俺も、と。
実にくだらない報復だ。
だけど生田先輩が先に焦れるのは、目に見えていた。
確信も勝算もあった。
案の定、先輩をほったらかしで熟読中の俺に、構ってオーラ全開で擦り寄ってきている。
「速水ク〜ン…。俺が悪かったから相手してよー…」
覇気のない声を出し始めた先輩を、横目で盗み見る。
まあ、これくらいが限界かな。
「反省してる?」
「してます!」
「ワザとだった?」
「違うんだけどー…、まぁちょっとは……?」
「…………覚悟は?」
「へ?」
わからないフリか?
それとも天然か?
どっちにしろ、やる事は変わらない。
「お仕置きするから、覚悟して」
栞もせずに閉じた文庫本を放り出し、楽しい時間の始まりだ。
「あ、あ、や、あぁ……っ、も、や、イカせて……っ」
ギシギシ軋むスプリングが、激しさを物語っていた。
とにかく感じさせる為だけに、腰を振り続けている。
「お仕置きだって、言った、だろ…っ?」
先輩が洗顔時に使うヘアバンドで、イケないように戒めた先輩の中心。
絶頂の証を放てないまま、先走りだけが溢れている。
「や、やだぁ…っ、出した、出したい…っ、ひ、あ、あー……っ!」
ドライでイッてしまったのか、先輩の身体がビクビクと痙攣した。
俺自身を埋めている内側もグネグネとうごめき、密着感が半端ない。
「マジ気持ちい…っ、は、ぁ」
何度も持っていかれそうになったが、そこは我慢だ。
簡単に終わらせたらお仕置きにならないし、解いた後には、ちゃんと抱き合いたいからな。
「はや、みク…っ」
「透」
「んんっ、とーる、とーる…、ぅ、あっ」
「エロ……、は、っ」
「ああぁ、あっ、あっ、あ、んっ、やぁ……っ」
再び奥をガンガン突き始めると、いつまでも聞いていたくなるような嬌声が響く。
もう充分楽しんだ。
お仕置きは、もうこれくらいでいいだろう。
動きながらだと外しにくかったが、何とか戒めを解いてやる。
「ひ、ぅ……っ、あ……っ」
「あーあ、泣いちゃった? ごめん、成親」
涙の浮かぶ目尻に口付けると、先輩が途切れ途切れに告げてきた。
「ダイジョブ、だけど…、でも、もぉ、や…、いっぱいイキたいよぉ…。責任取って、いっぱいイカせて………」
それが俺に対する仕返しみたいに言われても、そんなの仕返しになんてならない。
「言われなくても、まだまだ離す気ないから」
end
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