腐った男子です。
□接近、レクリエーション
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そうしてやって来た放課後の親衛隊本部(空き教室)前なのですが。
「……な、何事なのでしょうか…」
扉の前に立っているだけで、中の異様さが伝わってきています。
普段からそれなりにワイワイガヤガヤと賑やかな空間なのですが、今日はどこかおかしいのです。
扉1枚隔てていてもわかる、皆さんのテンションの高さ。
伝わってくる熱気のようなものが、この扉を開ける手を躊躇させていました。
そうは言っても、シロ先輩からメールを頂いた以上、ここで回れ右、とはいきません。
物事に勢いは大事! と言い聞かせ、扉を開けーーーー、
「よう、中谷」
閉めてしまいました。
え? ちょっと待って下さい?
今のは幻覚ですか?
もしそうなら、僕は相当参っているのでしょうか。
よりにもよってあんな幻覚を見るだなんて。
絶好調にテンパりながら思考を巡らせますが、全くと言っていいほどまとまりません。
再び扉を開けて中を確認すればいい事なのですが、それは身体が全力で拒否しています。
か、帰ったらダメですか……?
「お前、人の顔見た瞬間閉めるってのはどういう了見だ? あぁ?」
「ひゃあ!?」
扉の前で微動だに出来なかった僕の前で、扉が勢いよく開き、僕が扉を閉めた原因である人物と対面してしまいました。
「か、会長……」
その人物とは、言わずもがな。
俺様全開の生徒会長様です。
「な、何故こちらに……」
いらっしゃるのでしょうか。
「自分の親衛隊の会合に顔出しちゃマズイのかよ? 言っとくけどな、俺は前から時々は参加してんだよ」
き、聞いていません、そんな事。
知っていたらお茶会参加の頻度も下げていたのに。
「何だよ、その顔は。親衛対象に会えたってのに、随分不服そうだなぁ?」
僕を見下ろす会長の顔が、意地悪そうに歪みます。
そんな顔をされても美形とか、どういう事ですか。
って、そうではなくて。
「い、いえ、あの、ちょっとビックリしてしまっただけでして、あの」
「会長、あんまり新隊員を虐めないで下さいよ。辞めてしまってもいいんですか?」
会長の後ろからそう声を掛けて下さったのは、モモ隊長でした。
ただでさえ可愛らしくて天使のようなのに、今は更に天使度が上がって見えます。
「おっと、そりゃマズイな。まぁ入れよ、中谷」
「は、はい……」
蛇に睨まれたカエル状態のまま中に入ると、室内にはこれまで見た事もないほどの親衛隊員で溢れ返っていました。
会長が来ているのなら、当然と言えば当然ですよね。