腐った男子です。
□接近、レクリエーション
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正直、僕の中で落ちつつあった会長の株が、一気に上がっていきます。
まだちょっと、ファーストキスを根に持ってはいます。
ちょっと、あくまでちょっと、いえ、かなり……、ですが。
名前を覚えられてしまった事や、俺のモノ発言をされた時は、入隊を後悔しそうになったりもしました。
けれど今、後悔はありません。
邪な理由で入隊した事は申し訳なかったと思うのですが、カリスマ性に溢れる会長を知れた事。
そしてそんな会長を慕う皆さんと、仲良くなれた事。
それを素直に嬉しいと感じています。
これからは真面目に、親衛隊員として努めていけたらいいなぁ、なんて。
勝手にほんわか思っていると、
「あー、あとひとつ。これはレクには関係ねえ事なんだけど」
真面目な雰囲気を脱ぎ捨てた会長が、僕の方をチラリと見た気がします。
あ、あれ…?
何か悪寒がしますよ……?
「そこにいる仮隊員の中谷だけど、そいつサッサと正式隊員に昇格させといて。んでもってセフレにすんのも諦めてねえから、そうなってもイジメんなよ。ってか誰か説得しといて」
さ、早速後悔しましたーっ!!!!!
「ははっ、会長って面白いなー」
「また他人事だと思ってー!」
お茶会にはならず解散した親衛隊の会合から帰宅後。
僕は取るものもとりあえず、陽一さんの部屋へ駆け込みました。
だってそのまま自分の部屋にいると、親衛隊の先輩方の強襲に合いそうだったのです……。
それと言うのも会長が例の発言の後に、『説得できた奴には、何かご褒美やるからよ』とオマケしたせいです……。
会長のご褒美欲しさに、僕に身体を差し度せと迫る先輩方って、それどうなんですか………。
『見返りが欲しくて親衛隊やってるわけじゃないから』と言うモモ隊長とシロ先輩、彼氏持ちであるミドリ先輩の3人は、ご褒美に興味がないそうで。
『災難だねー』という同情の視線と言葉を下さいました。
ちょっとは庇って頂きたかったような、複雑な心境です……。
いえ、この3人にせっつかれないだけ、不幸中の幸いだったと思う他ありません。
とりあえず見直し掛けた会長の株は、大暴落しました。
人生ゲームといい、リアルといい、会長は株を下げるのが得意なようです。
「でも会長ってさ、結構良平に拘ってるよな」
「へ?」
こだわってる、ですか?
「恋愛感情かどうかはわかんないけどさ。モテんだから見切り付けてもよさそうなモンなのに、良平をセフレにするの諦めてないんだろ?」
「あー………」