ツイてます。

□小話
8ページ/8ページ


3周年記念リクエスト小話

山花様リクエスト
【カプ】海斗×和音
【お題】雫と海斗が何か企む話


 罠でした。


『和音様、海斗様、少しお聞きしてもよろしいですか?』

海斗さん手作りの飯を食ってる最中に、雫がそう切り出した。

「あ?」

「なにー?」

今日も今日とて美味すぎる海斗さんの飯。
超ご機嫌な俺は、何の警戒もなしに続きを促す。

『こすぷれいとは何ですか?』

「ぶぷぅ!?」

「うわ!?」

吹き出す俺。
そんな俺にビビる海斗さん。

いやいやいや、今のは雫の発言が悪いだろ!?

「し、おま、どこでそんな言葉を仕入れてきた!?」

海斗さんが差し出してくれたティッシュでテーブルを拭きながら、雫を問い詰める。

『てれびです。恋人同士の営みにおける興奮剤だというお話で。どのようなものなのですか?』

「うぇ!? え、えーと…」

コスプレはコスプレとして認識している俺は、一瞬考え込んでしまう。
っつか雫ってプロの人だったから、こういう話題は気になるのかな。

じゃなくて、えーと…。

「特殊な職業の制服とか着て、相手の欲情を煽るんだよ」

「それだ!」

さすが海斗さん!
雫にもわかりやすい説明!

『特殊な職業、ですか?』

「雫自身がそうだったろ? 遊女の着物とかさ」

『ああ〜! 少しわかりました!』

「アレってやっぱ男を煽る為なんだろ?」

『そうですねぇ。赤い長襦袢は殿方に好評でしたねぇ』

色事達人2人の会話を、ただ聞いてるだけになっている。
だってこんな話題、混じれないだろ。

下手に混じれば薮蛇になりそうだし、黙っていようと決めた瞬間。

『和音様達はこすぷれいをなさらないのですか?』

巻き込まれた。

「は、はぁ!? やんないし!」

コスプレなんて、どうせ俺が何か着せられんだろ!?

「和音は確かに苦手そうだよな」

海斗さんは苦笑して、雫の無茶振りを流そうとしてくれた。

何か珍しいな。
普段の海斗さんなら、ノリノリで雫の味方をしそうなのに。

『前にお祭りで海斗様が着替えたのは、こすぷれいではないのですか?』

―――――あ。

そ、そう言えば学園祭で、海斗さんにギャルソン姿になってもらった事があった………、な。

「確かにそんなコトあったか……」

チラリと俺を見る海斗さんの目が、期待を含んでいるように見えた。

イヤな予感しかしない。

『ねぇねぇ、和音様! 長襦袢、着てみませんか?』

「は!?」

『着物なら恥ずかしくないんじゃないですか? だって雫の普段着ですよ?』

「そう、かもだけど…」

確かにナースとかメイド服とかに比べたら、露出も少ないし……。

「長襦袢なら、確かあったぞ」

「え」

『なら決まりですねぇ! ほらほら和音様!』

雫にとっては普段着。
海斗さんには前にしてもらった。

この2点が引っ掻かって、イヤとは言えない空気になっている。

結局押し切られる形で、真っ赤な長襦袢に着替える羽目になってしまった。
そして予想通りと言うか、ノリノリになった海斗さんに美味しく頂かれてしまったわけで。



実は長襦袢は下着なんだとか。
2人が一緒になって画策して、俺に断らせないようにしていたのだとか。

この時の俺は、全く知らなかったのだった。



 end

.
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ