世界はまるで関係ないかの様に

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時は目まぐるしく過ぎていき、その流れに乗るのが精一杯だった。夢を見ず、ただひたすらに勉強し、俺は無事難関校と言われる高校に受かった。肩の荷が降りても相変わらず忙しく、気が付くと卒業の日を迎えていた。

式を終え、教室に戻った生徒たちは、各々に別れを惜しみ涙を流したり、話に華を咲かせていたりしていた。なんとなく教室内を見回していると、窓際に一人立つ慎の姿が目にはいった。話掛けようか迷ったが、その一言が見つからず、ただぼんやりと奴を眺めているだけになっていた。
三月頭とは言え、まだ冬の寒さの名残もあり、桜も蕾のままで開いてはいない。午前も十一時と後半に差し掛かった時間になっても、陽射しが強くなることはなく、弱々しく柔らかい光は教室内を暖かく照らす。
慎と俺は、一体どんな関係だったんだろう。特別仲が良かったわけでもなく、話す回数も他の仲の良い友達よりも少なかった気がする。だからと言って、ただのクラスメイトとは言いきれない。じゃあ恋人だったのかと聞かれば、それは違う気がした。慎とセックスするのは、正直嫌ではない。ただ、なぜ慎は、その行為を行うような間柄を続けたのかは、結局のところ分からないままだった。
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