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□跪くのは君だけ
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洗練された風が流れ、高貴な雰囲気漂う魔法学院ナミモリー。


ここでは日夜、貴族の令嬢、ご子息が魔法の腕を研いていた。


そんな優雅な、だが凛と張り詰めた厳格さが取り巻く広い敷地内にある第一校庭から、どこかドキマギとしたか細い声が聞こえてきた。




「我の声が聞こえしものよ……、我が前に現れ!」



声の主はナミモリー魔法学院二年の沢田綱吉であった。


しーんと、周りが固唾を飲むように静まりかえる。



「……守護獣一匹も召喚できねぇのかよ、ダメツナ!」



その、ドギマギとした声が響いて数分後、同学年の一人が嘲笑いの言葉をかけた。


ダメツナというのは綱吉の不名誉なあだ名である。

あれをやってもダメ、これをやってもダメ、なにをやってもダメ……。

知力、運動能力、魔法力が満年最下位であるそんな綱吉につけられた、そんなあだ名なのだ。


気の弱い綱吉はそのあだ名を拒否することが出来なかった。


今では全学年、教師にまでこのあだ名が浸透し、年下である一年生にまでそう呼ばれる始末だ。



それはある意味、一種のいじめのようであった。



だが、綱吉も綱吉だった。気が弱いというのも程があるというものだ。


少しは言い返せばここまでひどくはならなかっただろう。それなのになにも言わず、あまつさえ自分でもそう思い甘受してしまったせいというのもある。



「おい、ダメツナ。真剣にやってんだろーな?」






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