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□わからず屋におめでとう
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「それなのに綱吉が妙に意固地になるから」
ふん、とどこか拗ねる恭弥がたまらなく愛おしく思える。
ああ、この俺様な暴君はなんて照れ屋なんだろうか。そして、自分はなんて馬鹿な行動をしてしまったのだろうか。
「ヒバリさん」
綱吉は自分の巣から色とりどりの木の実をひとつ、ひとつずつ恭弥に渡した。
「これ、誕生日プレゼントです!」
「……え?」
きょとんとどこか呆けたように驚く恭弥の反応が嬉しくて仕方がない。
綱吉の想像通りの反応をしてくれるのだから。
「お誕生日おめでとうございます」
「まったく、綱吉は……」
どこか困ったような笑みで破顔する恭弥はそうそう見られたものではないだろう。
「……実はさっきヒバリさんと一緒に行けないっていったのはこれが理由なんです」
「どういうこと?」
「実はプレゼントまだ揃ってなくて。赤、黄、青、緑。四色集める予定だったんですけど」
「黄色がないね」
「うっ、そのとおりです」
黄色を探しに行こうとした刹那に恭弥がやって来てしまったのだから。
「そうだったんだね」
「ハイ、なんだかごめんなさい」
「もういいよ。それより綱吉」
「はい?」
「行くよ」
「え? どこに……」
なんだかこの会話にデジャヴを感じながら小首を傾げる。
「黄色の木の実を探しに」
「ヒバっ」
「プレゼントなんでしょう?」
ふわりと、綱吉が見惚れる笑顔を浮かべて恭弥が誘う。
「はいっ!」
大きく頷くと互いに崩れるように笑いあった。
並盛の町に二羽の鳥の幸せそうな囀りが響き渡った。
End
*囀るは祝福
ぐだぐだと甘いだけ……;