いろいろ

□愛しき牛に捧げるラプソディー
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そんな目をしているから――。

ロメオはイラついたかのようにランボの胸もとを勢いよく掴んだ。


「っ……なんですか、ロメオ!」


ランボが驚きで目を見開く。


「なんだじゃない、お前こそなんなんだ」
「は? 意味がわかりませんよ」
「うるさいっ!!」


ギリリとロメオの腕に力が入る。そのことによりランボはますます絞めあげられる。


「っく」


薄く息を詰めるのが間近で聞こえる。

ロメオはそんなランボの姿にどこかしらが満ちたりていくのを感じた。

この感情はなにか――、嘲笑か? 怒りか?

いや、違う。


だって満ちたりているのだ。



この感情は愉悦、だ。悦びだ。



(チクショウ……)



ロメオは悦ぶ感情を殺すかのように、冷ややかな眼で見据えた。


(どうしてオレは)


再会してからオレは奴のことばかり考えている……!


なぜと疑問ばかり。そんな自分が釈然としない。


なぜ、どうして。


こんな感情ばかりが渦巻くのか。


「っるし……」
「あ?」
「苦しいです、ロメオ!」



だから、離せ。



ランボはスムーズに呼気出来ないためか、焦点があわない眼で訴える。


その濡れた眼が妙に艶っぽい。


(っ!)



ロメオは眼を見張った。


(オレは今……)



なんて、思った?




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