小説

□キス以上の甘さで*
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嫌い、だった。こんな男。


女好きで、うっさん臭くて、素性も曖昧で。

本当に怪しいやつ。出来れば付き合いたくないってタイプ。なのに気付いたら……。

「んっ…ぁ、あ」

「色気のある声出せるようになったじゃねーか」


この男――シャマルに堕ちていた。

なんでこんなオヤジを好きになっているんだろうと自問自答を繰り返しても答えはわからない。


「っん、はぁッ、シャ……マル」

「なんだー、キスぐらいで」


キスぐらいでって、なんだよ……。百戦錬磨のお前とは違うっつーに。


悔しい事にシャマルとのキスは気持ち良い。本当、腰が砕けるほど。


「エッロイ顔で睨むんじゃねーよ」

「なっ、そんな顔してないから!」

「あー、はいはい」

「シャマル……んっ」


また、キス。

ふわりと唇を合わせたかと思うとすぐにシャマルの唇が開かれる。オレの唇を巧みな舌使いでヌレヌレと舐め、抵抗している唇をこじ開け深く侵入してくる。


口腔に入ってきた舌は分厚く煙草の味がする。煙草は煙いし少し苦手だけれども…、味は好き。苦くて痺れるような感じだけどそれが不思議と安心する。


「ふっ、はぁっ…ぁ」
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