小説
□居るということ
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「血の香りがする」
深夜。綱吉はいつのまにか背後に立っていたボンゴレ随一暗殺集団ヴァリアーのボス、ザンザスに声を掛けた。
ザンザスは突如背後に立ったにも拘わらず、驚いた態度を示さない綱吉にほくそ笑んだ。
「ちったぁ、ボスらしくなったじゃねぇか」
「ボンゴレのボスになって3年だよ? さすがに、さ」
つまらなそうにため息を吐き出すと綱吉は革張りの豪華なチェアを回転させて向き合った。ザンザスは深く笑みを刻んでいる。
「俺はてめぇがボスになってから今を合わせて5回目だがな」
「あぁ、そっか……」
「じゃぁ、久し振り」とペコリと軽く頭を下げた。
そうなのだ。綱吉とザンザスはこのイタリアの地に渡ってからまだ5回しか会っていない。
もとよりヴァリヤーはあちこち常に飛び回っているし、裏の役職である。そう会える人々ではないが、如何せん。日本でリング争奪戦をしていた頃はほぼ毎日といってもいいほど会っていたのだ。
そこから考えると3年で5回は少ない。
「血、怪我してるの?」
眉間に皺を寄せ、体全体から心配のオーラを出す。