小説

□かまうのはなぜ
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こんなにも殺伐とした、だけど温かい人。
こんな風に感じた人は今までに居なかった。

初対面は数分間。優しげな笑みに騙された。二回目は恐ろしく憎い敵として対峙した。三回は……。


三回目は味方として。救けて、くれた。


よくわからない人というのが正直なところだろうか。
彼は人間を玩具と称し酷い扱いをする。例えそれが仲間でも。


なんて虐殺的な。

なのに、この思い。

温かい、と直感する思い。

これはなんだろうか。



「クローム、さん?」
「ボス、骸様が……」



骸がどうしたの? と小首を傾げて訊ねる。

しかし、クロームはふるふると顔を振り目を閉じた。



「やっぱり、なんでもない」
「……そう?」
「うん」



骸がなんだろう? と考えても相手の思考だなんてわかるはずがなく。
ただただクロームが去っていく後ろ姿を見つめるだけだった。

骸はなにを伝えようとしたのか。


それは夜中にわかった。

ベッドでうっすらと寝込んでいると人の気配で目が覚めた。



「ん……、だれ?」
「こんばんは、綱吉くん。骸、ですよ」
「骸?」
「ええ」



寝呆けた頭でどうして骸がオレの部屋に、と疑問に思ったけど。

骸が矢継ぎ早に口を開くものだからそんな事疑問に思う余地がなくなった。



「綱吉くん質問があるんです」
「え?」




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