い
□パラドール・カルナモ
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マリアはちっちゃなパブロを
右手に繋ぎ
南東から北西に駆け抜ける風に舞い上がる麦藁帽を左手で押さえていた
果てのないひまわり畑の真ん中
南東からの風に乗り
6機のサヴォイア爆撃飛行艇が
失速寸前の高度で駆け抜けていく
ひまわりは太陽に向かい揺れながら
マドリードからカルナモへ広がるひまわり畑の真上
あなたの父アントォニオの後ろ姿を
胸に焼き付けておきなさい
お前達のための國を創るための
大切なお別れなのだから
終わりのないひまわり畑の真ん中
フランコ将軍の旗印を目指せ
我等が授かった生命に
ふさわしい未来を
残すために
どこまでもひまわり畑
ちっちゃなパブロはすっかり大きくなって
パラドール・カルナモの窓から
あの日の風の感触を思い出していた
変わりのないひまわり畑を眺めながら