短い夜

□先輩
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先輩はカッコよさが好きだった。


先輩の優しさが大好きだった。


先輩のことが大大大好きだった。


先輩も僕のことを好きだと言ってくれた。


でも、先輩の好きな人はあの人だから。


先輩の僕にたいしての好きはあの人にたいしての好きとは違うから。


しゃがんでいる僕の前の椅子に座っている先輩は泣いていた。


あの強気な先輩は泣いていた。


あの人にフラれたと泣いていた。


僕の胸は苦しかった。


あの人にフラれて嬉しかった。


でも、泣いてしまって悲しかった。


そして先輩に告白されたあの人が羨ましかった。


「先輩…」


もう止められない。


僕に先輩を愛する資格はない。


でも、でも…


「…先輩………









好きです…」


止めようと思った時にはもう口が動いていた。


先輩は少し驚いたようにしてニッコリ笑った。


「まだ…傍にいて…」


先輩の涙はキレイな透明だった。



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