短い夜

□先輩後輩
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先輩が後輩だった時






















彼女は恋をした。





“大先輩”



















相手は先輩。




最初は大嫌いだった。




やたらしつこく私を新聞部に勧誘してきた。




断っても断っても




先輩はへこたれず、私にアピールした。




私はとうとう折れ、新聞部に入部した。




先輩は私にすごく優しくしてくれた。




よく笑わせてくれた。


























あぁ…




この時…




この時自分の気持ちに気付いてたら




未来は変わっていましたか?























「好きなヤツとかいんの?」




ある日部室でくつろいでいる私に先輩はきいてきた。




「いませんよ」




私は読んでいた本から先輩に視線をうつす。




「ふーん……………ねぇ、もしもさぁ」




部室の窓からそよっと風が入ってくる。




「もしもオレが付き合ってって言ったらどうする?」



























ねぇ、先輩。




この質問は




告白だったのですか?
























「どーもしませんよ。私は先輩の忠実な後輩ですから」




視線を本に戻す。




私は焦っていた。




何に?




分からない。




でも体が熱くて溶けてしまいそうだった。


















そうか…私、先輩に恋してるんだ…






















あの時の気持ちに気付いていたら









あの時の言葉の意味に気付いてたら










私はこんなに辛い想いはしなかったんですか?






















ねぇ、神様…








私にもう一度、チャンスをくれませんか?

































「せ…ぱい!!せん…い!!起…て下さ…!!」



どこからか君の声が聞こえた。



「先輩!!下校時刻過ぎてますよ、先輩!!」



ふわりと風が私の髪をなびかせる。



そーっと目を開けると愛しい後輩の顔があった。



「あ、先輩、起きま…えッ、どしたんですか!?悪い夢でも見たんスか!?」





え?


悪い夢…


ポタリ…


あれ、これは…





「…涙…?」





…安心したんだ…



君の声に…



私は涙を袖で拭った。



「帰ろう!!」



ねぇ、神様。



チャンスはね、無くて良いよ。



昔のことを消してくれそうな



消しゴムが傍にいるから…


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