短編夢

□白の帷と贈物
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「……アレ?師匠は?」

「ダンさんなら、二階。セルゲイさんが上等のお酒持って来てくれて、一人で飲んでるの」

「珍しい……良い酒ならレオナさんと飲むと思ってたのに」

「私、ワイン派だから。スラフが付き合ってあげればー?」

「良い酒なら……付き合ってみますかね」

荷物を持ったまま二階へ上がる。開いていたからノックもせずに師匠の部屋の中に入ると、微かに酒の匂いが漂ってくる。

「マジで一人酒ですか、師匠」

「お子様と飲むよりかは美味いんだよ」

「付き合いますよ」

「ケッコー。お前は下で、皆とワイワイやってろ」

「……師匠」

「何だよ?」

「拗ねてますね」

「はぁ?」

笑いながら、師匠の隣に座る。顔を見れば分かる、拗ねているんだ。

「歳相応にフランチェスカやエスリンとはしゃぐのも面白そうですけど、生憎と師匠に育てられたせいで歳相応が出来ないんですよ」

セルゲイさんが持ってきたという酒は、ロックで飲むには少々重いアルコール濃度。

ちょうど良い。

「……飲みたいなら何か献上しろ」

「あぁ、さっき依頼人の婆ちゃんに貰ったサンドイッチです。どうぞ、MerryChristmas」

「お前なー、食べ物くれるんなら酒のツマミにしろよ」

「人の厚意を無下にすんな、アンタは……。良いからもらって下さいよ、俺がクリスマスプレゼントあげるの、師匠だけなんですよ」

というか、こんなんをあげたらフランチェスカもエスリンもがっかりするだろうし。

「……良いだろう」

空になったグラスを俺に渡し、酒を注ぐ。琥珀色の液体がグラスを満たした。

「Merrychristmas、スラフ」

「Merrychristmas、師匠」

聖夜に、酔う。



(辛く甘い夢に、溺れるように)







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