短編夢

□ワンフレーズ
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恋とはほろ苦いものらしい。
まだよく分からない。

女の子は甘酸っぱいとか表現するけど、男からしたら恋は苦いらしい。きっと失恋ばっかの奴の格言だろうと思ってたけど、どうやら違うようだ。

今の俺の恋は“ほろ苦い”が似合いそう。

最近、嫌でも思い知るんだ。あぁ、俺ってボンゴレ十代目なんだなって。獄寺君が「十代目!」って言ってもあだ名程度にしか感じなかったのに、最近は、凄く重い。

骸に狙われた。
“ボンゴレ十代目”である沢田綱吉の体が目当て。

XANXUSと戦った。
“ボンゴレ十代目”という地位を賭けて。

俺は俺だろ?何でそんな、俺が嫌がっている肩書に固執するんだよ。
だだの沢田綱吉が消えていくようで、怖かった。

それで何より、恐れた。

俺が望まない肩書によって、身近な誰かを傷付けるんじゃないかって。

山本とか、獄寺君はまだ良いよ、強いから。お兄さんも、強いから平気そう。ヒバリさんなんて戦う事を望んでるし。クロームは、まぁ、大丈夫だろう。何だかんだ言って強かったし。

でも、京子ちゃんやハルは?

俺が京子ちゃんに片思いしてるとか、ハルが俺に好意を寄せてるとか、ボンゴレに敵対する奴らから見れば使える情報だろ?
それでもし、二人が人質とかになったら。

俺は守り切れるのか?

そう考えると、背筋に冷たいものが走って、コーヒーをブラックで飲むより口の中が苦くなった。

否応なく俺はマフィアの争いに巻き込まれているんだ。嫌だ嫌だって叫んでも、確かに俺はボンゴレの血を継いでいて、十代目として周りに認められている。

俺は逃げられない。

だけど、遠ざける事は出来る。

俺が京子ちゃんやハルから離れれば、二人は多少安全になるのではないか?

それが最善に思えて、でも、また口の中が苦くなった。

吐きそうだ。








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