遥かなる時空の中で

□ナミダ。
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――『お前が・・・・俺の・・・・敵・・・?』――

壇ノ浦。
俺達の世界の歴史では,ここで・・・・この戦いで,
平家が滅びる。
俺,有川将臣はそれを阻止するべく戦っていた。
この世界に来たばっかりで混乱していた俺を拾って,面倒をみてくれた人達に恩を返すために。
還内府と呼ばれて。


いずれ会うだろうと思っていた。
わかってたんだ。
いつまでもこのままではいられないコトを。
いつかは終止符を打たなければならない関係だってコトも。
始まりがあれば終わりは来る。
俺達の場合はそれがカタチに見えてたんだ。

――いつまでも,恋人同士でなんかいられない。


―――甘い関係なんて続かない。


――――判ってたさ。


―――――判ってたんだよ。


―――――それでも・・・・願ってた。


――――――ずっと一緒にいたいって。
      恋人同士でいたいって。 
      甘い,甘い,砂糖菓子みたいな関係でいたいって。

―――――――だから・・・逢いたくなかった。


――――――――お前にだけは此処で・・・この戦場で・・・・       


―――――――――逢いたくなかったんだ。



――――――――――九朗――――――――――
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