遥かなる時空の中で
□kiss me!!
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☆運命の迷宮っぽく,八葉と白龍が現代に来た設定です。
「ただいま〜っと」
ガチャッと玄関のドアを開けて家に入る。
するとドタドタと慌しい足音が聞こえてきた。
「将臣ッ!!」
橙色の髪を振り乱して俺の元に走って来たのは,俺の恋人の九朗。
「帰ったのか!!将臣!!」
「おぅ。ただいま。九朗。」
俺の傍に寄ってきた九朗に,俺は恒例の「ただいまのキス」をしようとした。
が。
「ダメだ!!将臣!!」
無情にも手で顔を遮られる。
「なんだよ九朗〜!!いつものコトだろ〜。いまさら恥ずかしがるコトじゃねぇぞ?」
「なっっ!!」
九朗の顔が赤く染まる。
(可愛い〜〜vvvv九朗vvv)
俺は九朗のこういうトコロに堕ちたんだよな〜。
クルクル変わる表情が,見てて飽きないっつうか。
可愛い。
その一言に尽きる。
なんて妄想(?)に俺が耽っていると・・・・
「将臣!!」
九朗が口を開いた。
「ん?どうした?九朗。」
「っ・・・・・・〜・・・・」
さっき赤くなった顔を更に赤くして,口をパクパクさせている。
何か言いたいコトがあるのだろうが,なかなか言葉に出てこない。
「九朗?」
「・・・・・・・・」
何回か視線を彷徨わせたあと,キッと俺に目をむけた。
そして・・・・・
「将臣!!」
ちゅっ
俺の唇に自分の唇をくっつけてきた。
「!!!!!」
ビックリした。
なんせ九朗は恥ずかしがりやで,自分からキスするなんてコトこれまでにほとんど無かったから。
てゆーか,そんなコト1度も無かった気がする。
あまり思考が廻らない頭で九朗の顔を見ると,案の定九朗は顔を真っ赤に染めていた。
「く・・・ろう・・??」
「〜〜っ・・・・・」
どういうコトかワケを聞かせて欲しいという目線を九朗に送ると,九朗は時々躓きながら,話してくれた。
「そのっ・・・望美が,だなっ・・・教えてくれたんだっ・・・」
「望美?」
「そ,そうだっ・・・今日はこの世界はばれんたん,という日なんだろう?
で,それはどういう日なのかを聞いたら,恋人同士が,あ・・・愛を確かめあう日だって言ったから・・・だから・・・・」
「バレンタイン・・・・。」
あぁ。そうか。
九朗は望美に聞いて,俺にキスしてきたってコトなんだな?
『恋人同士が愛を確かめ合う日』
って聞いて,行動に移したんだ。
やっとそこまで思考がいって,俺は幼馴染に感謝した。
小さい頃からイロイロ振り回されてきたアイツだけど,こんなコトをしてくれるなんて・・・・
「将臣・・・・?」
そんなコトを考えていると,九朗が俺の名前を呼んだ。
「その・・・嫌,だったのか・・・・?」
「はぁ??」
「だから・・・そのっ・・・俺に口付けられるのは,嫌だったか??」
九朗が不安な表情を浮かべている。
黙ってしまった俺に嫌がられたと思ったみたいだ。
「ッバカ!!
嫌なワケないだろう!!」
慌てて俺は九朗を抱きしめる。
「好きな奴にキスされて嫌なワケあるかっ!!
嬉しいぜ,九朗!!」
「ま,将臣!!」
きつく抱きしめすぎたのか,少し苦しそうな声を上げる。
「あ〜・・・嬉しくて死にそうだ・・・・コレ,夢じゃねェよな?」
「ばか・・・・///」
「九朗・・・・」
ちゅっ
「!!!!」
「お返し。」
俺は九朗に,とびきりディープなキスをプレゼントしてやった。
「将臣〜〜っ!!!」
「へへっ」
九朗がまた真っ赤な顔で俺を見上げてくる。
やっぱ・・・・可愛いvvv
「あっ!!!」
「ん?」
九朗が突然大きな声を上げた。
「言わなければならないコトがあったんだ」
「まだなにかしてくれるのか?」
「あぁ・・・」
そういうと俺の耳に唇を近付けて,囁いた。
―――――「はっぴぃばれんたいん,将臣。」――――
「あぁ。」
―――――「ハッピーバレンタイン,九朗。」――――
俺はそう返すと,今度は啄ばむような,優しいキスをした。