遥かなる時空の中で

□ナミダ。
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「九朗・・・・・」

そう言われて俺は返す言葉を失っちまった。

「お前にとって,俺は・・・欲望の捌け口だったのか?
 それなら,っそれなら・・・・・何故ッ・・・・」


―――――――――「何故俺に,愛しているなどといったんだッッ!!!!!」―――――――――――


そこまで言われて,俺はやっと発すべき言葉を感じた。
絶対に,言わなければならないコトを。
今のこの荒んだ状況でも・・・イヤ,この荒んだ状況だからこそ,言わなければならないコトなんだ。
確かに俺はお前を騙していた。
それでも・・・・・・・
コレだけは・・・・・・・

「九朗ッ!!」
「ッ!!!」

俺は九朗の肩を掴んだ。
そして濡れている瞳に自分を映す。
伝えなければならないコトを,伝えるために。

「聴いてくれ,九朗。」
「・・・・・ッ・・・放せ!!」
「イヤだ。」
「ッ!!」

放すもんか。
俺はお前に伝えなきゃなんねェコトがあるんだよ。

「九朗。」
「・・・・・・」

じっとみつめると,九朗が抵抗をやめた。
聴いてくれる気になったらしい。
伝えなければ。
俺の想いを。
俺の・・・・真の想いを。
たとえ俺がお前を騙したって結果になったとしても,俺は・・・・・



―――――「俺はお前を・・・・愛してる」――――
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