遥かなる時空の中で

□ナミダ。
6ページ/8ページ

「将臣っ!!将臣っ!!」

九朗が,俺の名前を呼んでる。
応えてやんなきゃなんねェと思って,目を開けた。
でも,よく見えねェ。
目の端に赤いモノがちらついてるし,なんか霞んでて見えないんだ。

「将臣!!起きてくれ!!将ッ・・・臣・・・!!」
「く・・・・ろう・・・・」
「ッ!!将臣!!」

何が,あったんだ・・・・?
さっき,九朗の方に矢が飛んで来て・・・・。

―――あぁ。そうか。
   俺は・・・・・・・・・・。

―――射られたんだ。

この胸がズキズキと痛むのは射られたからか。

「将臣ッ・・・・・!!」

なんだよ。
また泣いてんじゃねェか。
やっぱさっきズキズキ胸が痛んだのは,射られたからってだけじゃない。
九朗がまた・・・・泣いたからだ。

「っバカ・・・・・泣くなよ・・・九朗」
「ぅっ・・・・将臣っ・・・・・」

九朗の顔が,俺の真上にある。
・・・・ってことは今,俺は九朗に膝枕されてんのか。
あーー・・・幸せだ・・・。

「将臣っ・・・死なないでくれっ・・・・」
「くろぅ・・・・」
「将臣っ・・・・・」

俺は九朗の頬に手を伸ばした。
それから,ナミダを拭って撫でてやる。

「死なねぇよ。九,朗。俺が死ぬワケ・・・ぐっ・・・・」
「将臣っ!!」

口から血が噴き出てくる。
コレは・・・相当ヤバイかもしんねぇ・・・・。
目は霞んでくるし,耳の奥でなにかが鳴ってる様な気がする。
九朗のナミダは止まらない。

「まさ・・・おみぃっ・・・」
「だい,じょうぶだ・・・九朗・・・泣くなよ・・・・」
「ぅっ・・・・ぃやぁ・・・・まさおみ・・」
「泣くな,って・・・・九朗・・・」


――――――――――――「笑ってくれよ・・・っ・・・・九,朗・・・・・」――――――――――



 
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ