キマグレSS部屋

□神への懺悔
1ページ/1ページ

拝啓、大切な貴方へ。


お久しぶりです、と言っても、もう13年も経つのですね。
私も今年で二十歳になります。

今日は御報告があります。


やっと、自分の気持ちに区切りがつきました。

私は貴方を、今でもお慕いしています。

遠い昔に貴方に植え付けられたこの胸の愛の傷は、今も夜な夜な私の心で燻ります。

貴方と過ごした星屑の愛の夜は、私の記憶の中で星の数の夢を見せます。


でも……。



私は今、やっと解りました。

私は貴方ではない、あの方を愛しています。

これは許されない恋だということは、重々承知しています。

私のこの気持ちを、あの方にお伝えしたところで、あの方は私を虐げることしかしません。
何より、あの方はそうすることを定められています。

当然、あの方との幸せは望めませんし、私もそれを求めはしません。




それでも私は、あの方を愛しています。
そして、その事に対する背徳感で苦しいのです。



貴方はお許しにはならないでしょう。

手塩にかけて育て上げた、養い児を、自分を殺した張本人に取られるのを。




貴方の愛無しでは、私はここまで歩めませんでした。

しかし私は、貴方を殺めたあの方を、この心から愛しています。



私のことを罪深いと罵ってくださっても構いません。
むしろその方が、背徳を罪と感じずにはいられない、私を唯一救ってくれるでしょう。




嗚呼、闘いが始まります。

殺されるなら、貴方のあたたかい腕の中が良かったです。
そうすれば、この苦しみから解放されるでしょうに……。

もうすぐ、私もそちらへ向かうことになるでしょう。


その時はまた、冥い死の世界から私を見つけ出してくださいね。


それでは、また逢える刻を……。

敬具、貴方の罪深い弟子より。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ