キマグレSS部屋

□黄金の天使
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「サガぁぁあああっ…!!」



サガは暗い冥い闇の中に落ちていきました。

アテナの叫びは、もうサガの耳に届きません。

自分で刺した腹の痛みも遠退いていきます。



いつの間にか、奇妙な浮遊感はおさまって、サガは闇の中に立っていました。



―――私は、死んだのだな。


改めて感じ、歩き出しながら先に死んでいった黄金聖闘士たちの事を思います。


―――アフロディーテ、カミュ、シュラ、デスマスク……先に逝ってしまった、忠義の闘士たちよ……。

私の身勝手な行為により……、すまなかった。




そして、13年前にも想いを馳せます。

―――雄大な小宇宙。
今度こそ、教皇様に謝罪をせねばならないな。





気がつくと、小さな光が見えます。

黄金色に輝くそれは、ふわりとその数を増して、サガの体を包み込むように舞っています。




「―――これは………」








「サガ―――」


懐かしい声が響きました。

顔を上げたサガの目には、大きく広げた黄金の翼が見えました。


サガには、黄金の天使に見えました。



「―――アイオロス」




お前は……、


それ以上、込み上げる涙で、サガは言葉が続けられませんでした。



サガを抱き止めたアイオロスは、13年前のように、太陽のように明るく優しい笑顔で言いました。


「君がこっちに来るって聞いて……、ずっと待ってたんだよ。

サガはゆっくりなんだもん」



サガは頷くことで精一杯でした。

この大きな腕を、どれ程待ったか解りません。



「サガ………。さあ、行こうか」


―――俺たちの世界へ。



サガはアイオロスに微笑みかけると、差し出された手をとって、歩き始めます。




―――私たちは、闇の向こうの光の世界に向かって、二人で歩みを進める。






〜〜〜〜〜

あえての童話風。

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