学パロスペース
□放送室
1ページ/1ページ
「礼を言う、ミロ」
場所は放送室。
時間的には、一日のうちで最も大がかりな放送が終わった時間。
本来、放送当番というのは、当番長を含めた4人。
しかし、当番長のカミュがいつまでも他の委員を待っていても、誰も来ない。
仕方がないので、放送室に遊びに来ていたミロに頼み込み、何とか放送中止の危機を免れた。
「いいさ。他ならぬお前の頼みだもんな」
「もうひとつ、この部屋を出てもらえないか? 一応、委員以外は入室禁止になっている」
予想通りと言うか何と言うか、すぐさま抗議の声が飛ぶ。
「いいじゃんよー。ここなら外に音も漏れないし、人も入ってこないだろ?」
……確かに、今までのカミュの仕事の態度により、教師たちからはかなり信頼されている。
しかしな……。
「滅多に入ってこれないんだ。面白いものもいっぱいありそうだしな」
そう言いつつ、ミロは興味津々といった様子で回りの機械類を眺めている。
手近にあった音響機器に伸ばされた手を、カミュは慌てて掴んだ。
「カミュ……」
ミロは掴んだカミュの腕を掴み返し、勢いよく引き寄せ、バランスを崩したカミュを腕の中に閉じ込めた。
「おい、ミロ……っ!」
そしてカミュの髪の中に手を突っ込むと、首筋を撫で上げ後頭部を押さえ、その唇に自分のそれを押し付けた。
深い口付けの後に解放されたカミュは、頬を上気させてミロにすがりついた。
「なんなんだ、全く………」
無邪気に微笑み、ミロはカミュの耳元に唇を寄せる。
「続ける?」
「ここじゃ……、人が……」
制服を掴む手がいっそう強くなるのを、ミロは感じた。
「じゃあ、そっちは?」
ミロが示したのは、放送室の奥の扉から繋がるスタジオ。
アナウンサー以外の生徒の出入りはなく、こちらの機械室とは防音ガラスでしきられ、分厚いカーテンと校舎の影によって、電気をつけない限りは昼間でも真っ暗の状態だ。
ミロは、カミュの返事も聞かずに膝裏から持ち上げ、姫だっこの状態にすると、扉に向かった。
そして扉の前で恋人に囁く。
「自分で開けて?」
カミュは握りしめていた手を扉に押し付け、重い扉をゆっくりと押し開けた。
〜〜〜〜〜
貴様らぁあ!!
放送室で何をヤっとるかぁっ!?
(↑元放送委員、アナウンサー)