学パロスペース
□私とシャカの長い一夜
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「……困ったな」
「やはり開かないかね?」
「ああ」
ここは放送室。
放課後、シャカと私は明日の放送で全校に流すための番組作りのため、ミロの誘いも断って放送室に籠って編集作業をしていた。
しかし。
余程時間が過ぎていたのか、気づいたときには下校時刻。
片付けて帰ろうとすれば、外からの鍵で扉はびくともしない。
そして、冒頭に戻る。
「これは……、明日の朝の当番が来るまで待つパターンかね」
私も、ちょうど同じ結論に至っていたところだった。
よりによってシャカか……。
別に、嫌いなわけではなかった。
ただ、何となくお互い話さないだけ。
「携帯は持っていないのかね?」
「……。生憎、教室の荷物の中だ。シャカは……」
「私は常に持っていない」
これで外との通信もできない、か……。
こんな、“パターン”、“携帯”という言葉に違和感バリバリの奴と密室で一晩。
時刻は6時。先は長い。
〜数時間後〜
ぐぅ〜、と、低い音がして、私は顔を上げた。
明らかに腹の虫の音。
言っておくが、間違っても私ではない。
離れて座っているシャカを見ると、奴もこちらを見ていた。
お互い言葉はなく。
―――き、気まずい。
もう一度シャカの腹が鳴ったとき、私は思い出した。
確かポケットに、昼間ミロに貰ったチ○ルチョコがあったはずだ。
制服のポケットを探ると、思った通りチロ○チョコが2つ出てきた。
「シャカ」
私が投げたチョコを簡単にキャッチすると、暫くチョコをじっと見てから立ち上がる。
そして、リクエストされて置きっぱなしにされたCDの山の中から、とある一枚を掘り出し、プレイヤーにかけた。
聞こえてきた曲は……。
『ハッピーバースデートゥユー♪』
恐らく一番ポピュラーであろうバースデーソング。
とても高校の放送室にあったとは思えないが、それこそ、在るところにはあるのだ。