学パロスペース

□とある冬の日
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しかし、当のアイオリアは「いらん」と一言。

「そんな女っぽいもの使えるか」


ムウは再度ため息をついた。
アイオリアの悪い癖だ、と思う。

「これだからあなたって人は……っ!」

「何だよ?」



「もういいです」

踵を返したムウは、そのまま歩き出した。
後ろから後を追ってくるアイオリアの気配を感じる。


折角、二人の都合が合って一緒に帰れるのだ。
折角、周りに誰も居ないのだ。

さっきの続きもある。

こんなことで喧嘩してどうする。



気を落ち着かせる意味も込めて、ムウは自身の唇にリップクリームをつけた。





「なあ、おい、ムウ。
少しは機嫌直せよ」


自分からは、謝ったりしないのですか―――。

ぱたりとムウは歩みを止め、すぐ後ろを歩いていたアイオリアに自分からぶつかっていった。


「む、ムウ……っ!?」



ムウは、しっかりと唇を合わせたのを確認すると、直ぐ様身を翻しアイオリアの腕をすり抜けた。


「これは………」

アイオリアが唇に指をやると、既にそこには先程まで感じていたカサカサした感触はなく。



「……これからは、自分で塗ってくださいよ………」


耳まで真っ赤にしたムウが、弱々しく呟いた。
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