学パロスペース
□私とシャカの長い一夜
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「………」
「………」
緩やかで楽しい曲の間も、やはりお互い沈黙のままだ。
やはりと言うかなんと言うか、こいつはやること成すことが謎だ。
「……誕生日」
シャカが呟いた。
前言撤回。やること成すこと、+言ってることが謎だ。
とりあえず、何かを言っておくか。
「ああ、そんな曲名だったな……」
ちがう、とでも言うように、シャカは首を横に振った。
「……誕生日なのだ………」
誕生日?
今日が誰かの誕生日だというのか? 初耳だ。
「誰のだ?」
心なしか、シャカの様子がいつもと違う気がする。
何かを思い詰めたような眼差しで、私がやったチョコを握る手が震えている気がしなくもない。
そして、俯きがちに唇を開く。
「………誕生日、なのだ……」
まさか。
「シャカ。お前の、か……?」
衝撃的な言葉を聞いたかのように、勢いよく振り向くと蒼い目を見開く。
その反応で十分だ。
正直、ここまでやられて気づかないわけがない。
「それは……、おめでとう」
タイミングよく曲が終わった静かな空間に、私の声はよく響いた。