学パロスペース
□愛しい人は
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この人のこの勝ち誇ったような微笑みには、誰であっても逆らえないと思う。
そして、自分もその例外ではない。
失礼しますと声をかけ、一瞬どう座ろうか迷った後、先生の肩に手を置いて横抱きの形に腰を掛ける。
「ふふっ……、大胆ですね、ルネ」
「なっ……」
「ですが、そんな貴方が大好きですよ」
手を離してバランスを崩しかけ、先生の腕に掬われる。
「暴れなくても大丈夫ですよ。
私の、美しい、可愛いルネ……、愛してますよ」
髪を撫でられ、胸に先生の温かさを感じる。
「はい……」
気付かぬうちに、先生の愛を受け入れていた。
そして、自分も先生を愛してしまった。
―――止められない感情。
「ルネ、そう言えば、ホワイトデーまだでしたね」
「私も忘れていましたよ」
「先生、お誕生日おめでとうございます。
お祝いの言葉も言えずすみません」
「いえ……、会えなかったわけですから」
「「プレゼントは何がいいですか?」」
「「貴方です」」
クスリと笑って唇を合わせる。
『愛しい人は貴方です』
END