□01 下見
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ザッ

足音がひとつの学校前で止まる。彼女は学校の名前を見つめ続けて学校を見上げた




『───青春学園、か』




そう呟き、彼女は敷地内に入った

その格好は青春学園の制服だった。但しリストバンドを両手に付け、風紀の文字入りのワッペンも付けて

彼女の足取りは、ただひとつの場所に向かっていた

少し歩けば一定のリズムで響く音が耳に入ってくる

その音のする方へとただただ進む彼女、そしてその場所にたどり着けば立ち止まる



(男子テニス部…)



フェンスの前に立ちそこからただ眺める

そこから見えるひとりひとりを瞳に写し、全員見つめ終わると目を瞑った




『ねぇ』

「んあ?…!は、はい!!何すか!」




丁度フェンス越しに目の前にいた男の子に話しかける

背もそこまで大きくないし、さっきからボール拾いばっかりだ

そこから見て一年だろう、そう思いながら話しかけた

男の子は此方をかったるそうに一瞥して二度見してからピンと立ち上がった




『あそこで打ってる周りと違うユニホーム着てるのがレギュラーかな?』

「は、はい。そうです、それが…?」

『一番右のコート、黒髪短髪の奴』

「は?」

『背の高いあの男、足捻ってる。その隣のコート、バンダナの奴。手首に負担かかり過ぎそろそろ痛みが走るよ』

「え、え?」

『コートで飛び跳ねてる奴、あれも足痛めてる。新品の靴を見ると靴擦れだね。で、あの騒いでるパワー系のあれ、筋痛めてる。やりすぎるとテニスも危うくなるよ。それだけ、ちゃんと伝えとけ』

「ちょっ!」




それだけ伝えてその場を立ち去る

後ろでなんか聞こえたけど無視だ無視

あたしはそのまま職員室に向かった。あ…職員室って何処?






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