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□08 勃発
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月曜日、あたしが青学に転入してから約1週間がたった。
不二や菊丸とは同じクラスもあり、かなり仲は良いと思う。
他もみんなそれなりに関係が築かれた。
でも、今井に動きは嫌味以外【なかった】。
つまりは、イジメの【準備期間】だった訳。
まあ、転入したばっかで入部したばっかでイジメを起こす訳ない。
その辺は考えたっぽい。
だって、あの今井の台詞、態度からしてレギュラー狙いのアレなのは判る。
そして現在、放課後部活動の時間。場所部室であたしと今井のふたりきり。
つまり、条件はすべて揃った。
「ねぇ、センパイ〜ぃ?千春ぅ言いましたよねぇ、手ぇ出さないで下さいってぇ?」
『…手なんて出してないけど?』
「そんなこと言っていいと思ってるんですかぁ?センパイ〜今から地獄見るんですからぁ〜」
フラグは立った。
面白いくらいにうまく進んで顔が緩みそうだ。
『地獄、ねぇ。それより幾つか知りたいことあんだけどさ。』
「何よぉ〜?」
『あたしの前には仕事どうしてたんだよ?今井がやる訳…ないよな?』
「当たり前じゃない!何が楽しくてぇこんな仕事するのかぁ〜千春ぅ、判らないもん」
『じゃあ、どうしてたんだ?』
「適当な奴にやらせたにぃ、決まってるじゃない〜!居ない時のドリンクは買ったスポドリ移したりぃ?誤魔化したりぃ?」
特に気にも止めずに口を動かし続ける、今井。
(それにしても、べらべらとしゃべる奴。録られてることも知らずにねェ…
…ここまで来ると馬鹿を通り過ぎて呆れしかでてこないな。)
そう思いながらも手はせっせとドリンクを作っていく。
まあ、ここまでパターン通りだとコレからすることも判る。
だからわざとひとつ入れない奴を作ってもよかったけど…
(そんなの、つまんないだろ?)
今井にばれないように口角を上げて微笑む。
微笑むなんて綺麗な笑い方じゃないけどな。
最後のひとつを作り終え、キーパーに残りを移し、タオルを用意。
(さあ、始めようよ。楽しい楽しい、ゲームをさァ。)
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