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□14 病院
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『…さて、どうしたものか。』
青学を出たのはいいが、この怪我。
流石に放置しておくのは、気が引ける。
かといって、迂闊に並盛病院に行けば恭弥に連絡が入る。
それは困る。じゃあ、シャマルを呼べばいいと思うが、今どこに居るのやら。
しかもアイツ携帯の電源切ったままか充電切れてンのかしらねェが繋がらないし。
もう一度ため息をつく。
とすれば、此方で病院を見つければいいって事になる。
目線を上げれば見える病院に向かって、あたしは足を進めた。
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「…教えてくれへんかな?」
『…黙秘権がこちらにはある。』
病院を見つけて、診察を受けたまでは良かった。
が、流石、テニス部。
かなり身体中が青痣だらけ、それを医師が見逃すわけがない。
これはなんだと問い詰められて早、30分…
いい加減諦めてもらいたい。
『お医者さんが何と言おうと、あたしは言いませんよ。』
「けどな?」
『あたしは弱くないんで、本当に大丈夫なんで。やられてばっかは嫌いなもんで、正当法でぶっ飛ばします。』
あたしが満面の笑顔でそう言えば、医者は目を丸くした。
それから、けらけらと笑い出した。
「なんやら、けったいなお嬢さんやな。わかった、そこまで言うんやったら、もう俺は言わんよ。」
『そりゃ、どうも。』
「ははっ。ホント面白いなあ、自分。」
また医者は笑う。
この大阪弁といい、なんだか掴めない大人だ。
でも、嫌な気持ちにはならない。
それが1番不思議だった。
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