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□15 常連
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『とぅわーっす。ミカワヤでーす、違った、塚本でーす!』
「ちょ、今何時かわかってるん!?何でもうちょい早く来られへんの!」
「…アホがおる…」
この病院を訪れてから、早3日。
毎日のペースで、あたしはこの病院に来ていた。
『アホって言うなよ、忍足侑士。』
「あの発言はアホやろ。ちゅーかなんでフルネームなん!?」
『え?ノリしかないだろ。』
「ちょ、俺を無視して話さないといて!」
忍足親子との会話ははずむ。
並盛のみんなとは異なった安心感が、この関係にはあった。
息子がはあ、とため息をつく。
「自分にもう、付き合いきれんわ。」
『…とか言いながらあんたもまたいるんじゃん、忍足侑士。』
「だからなんでフルネームやねん!」
「はい。漫才ストップしてなー。先に怪我の手当てしよか。」
『いつも悪いな、医者。』
「じゃないやろ?朔。」
きょとんとして医者を見ればニコニコと笑ってあたしを見る。
全く毒っ毛ないこの笑みに、あたしは毎回勝てないでいた。
『…ありがと、忍足せんせ。』
「もっと言えっちゅー話や!」
『アンタじゃないわ!忍足侑士!』
「侑士の事は名前で呼んだらええんちゃうん?ややこしくないやろ?」
『…検討しとく。』
いつも迷うんだ、名前を呼んだらこちらに引き釣り込みそうで。
(そういえば、リョーマの時は迷わなかったな…なんでだろ。恭弥や綱吉に似てたからかな…)
考え込んでいれば、後ろから「もうええで。」と医者からの声がかかった。
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