□11 不快
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クラスに行くまでにかなり多くの人に陰口を叩かれた。

殆ど男子からだったけど。

クラスに辿り着くと、どう見たって可笑しいドアの開き方。

それに沿って見上げれば挟まった黒板消し、しかもかなり粉のついた。

それにため息をついて挟まっていない逆側のドアを開ける。

すると周りから、落胆の声。




「うわー、引っ掛かれよな塚本ー。」

「空気読めないのか?」

「つか、千春ちゃん苛めるとか頭可笑しいんじゃねぇの?」

「ほんと、学校こなくてよかったのになー。」




続けての罵倒、女子はひとつに固まって傍観者。まあ、邪魔しないでくれるのはありがたい。

取り合えず、そのまま一歩歩けば同じ罵倒が繰り替えされる。

はあ、とため息をついて思う。


(ふたりが居なくて良かったな。)




『何故わざわざ引っ掛かってやんなきゃならない?』

「「「!」」」




1割から2割の殺気を飛ばす。

それだけで、男子達は口を閉ざす。

ギロリと睨んでやれば、情けなく悲鳴を上げた。


(ああ、つまらない。)


そう思いながら、席まで行けば此方も大惨事。

さらにひとつため息をつく。




『あーあーあー?暇だねェお前らさあ…』




少し声を低くして呟く。

それだけで男子達はビクリと震える。


(駄目だよ、やるなら相手を見て決めなきゃ、さあ。)




『ねえ、』

「は、はい。」

『机、替えてきてよ?』

「な、んで…おれが!」

『ん?替えてきてよー』




声を低くすれば男子はすぐに机を取り替えてくれた。

うん、聞き分けのいい奴は、好きだ。

怯えながらのイジメほど怖くないものはないだろう。




『あーあ、幼稚過ぎだなァ…』




あたしの呟きは不二たちの入室により掻き消された。






(こんなものは屁でもない。)

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