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□13 苦渋
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部活動の時間。
今までと同じようにあたしは部室に向かう。
がチャリ、と音を立ててドアを開いて中に入る。
入ればレギュラーはもう着替え終えていて、あたしを見ると舌打ちをして睨んできた。
それはやっぱり一般人だから全然怖くもなんともない、けど…
(あっさり掌、反されると、さ…)
気にしてない振りをしてジャージに着替える。
着替え終えたら声を掛けたれたので振り替える。
『なに、桃城。』
「千春イジメちゃーいけねぇな、いけねぇよ。」
『何度でも言うよ、あたしは虐めてないから。』
真っ直ぐ桃城を見て、あたしは否定しとく。
だってやってないものはやってねェんだから。
「まだ、んなこといってんのかよ!」
「千春が泣いてるんだ、次泣かせたら、みんなキレる確率100%」
『精々頑張りますよ。』
そっぽを向いて、返事を返すとチッと舌打ちの音がして部屋から人気が無くなる。
『…あんな顔、させたくなかったんだがな…ごめん、手塚、不二、リョーマ…』
ちらっと見た3人は、何か言いたそうな顔のままで、あたしを見ていた。
苦しそうに哀しそうに、あたし達を見ていた。
(辛いかもしれない、だけど、傷付いて欲しくないんだよ…)
ただ、あたしはそれだけを思って息を吐いた。
それと同時に、がチャリとドアが開く。
振り返って見れば、そこには満足そうに今井がいた。
「あはぁ〜?無事だったんですねぇ〜?まあ、いいやぁ、朔センパイいい気味ですねぇ?」
『そうか?あたし的にまだ余裕だな。』
「そぅですかぁ〜?じゃあ、もっともっと堕ちてくださいよぉ!」
あはっ、と笑ってボールの入った籠を手にする。
(また、か。)
今井が勢いよくそれをばらまくのを、あたしはひとり、冷静にみていた。
「キャァァアアア!!!!!」
『くっだらねぇ…』
ひとり、そうつぶやく。それは奇声に掻き消された。
(なにもできねぇこと程つまんねぇことはねぇな…)
そしてバタバタとこちらに向かってくる足音。
デジャブだ…そしてバタンと開かれるドア。
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