□13 苦渋
1ページ/3ページ






部活動の時間。

今までと同じようにあたしは部室に向かう。

がチャリ、と音を立ててドアを開いて中に入る。

入ればレギュラーはもう着替え終えていて、あたしを見ると舌打ちをして睨んできた。

それはやっぱり一般人だから全然怖くもなんともない、けど…


(あっさり掌、反されると、さ…)


気にしてない振りをしてジャージに着替える。

着替え終えたら声を掛けたれたので振り替える。




『なに、桃城。』

「千春イジメちゃーいけねぇな、いけねぇよ。」

『何度でも言うよ、あたしは虐めてないから。』




真っ直ぐ桃城を見て、あたしは否定しとく。

だってやってないものはやってねェんだから。




「まだ、んなこといってんのかよ!」

「千春が泣いてるんだ、次泣かせたら、みんなキレる確率100%」

『精々頑張りますよ。』




そっぽを向いて、返事を返すとチッと舌打ちの音がして部屋から人気が無くなる。




『…あんな顔、させたくなかったんだがな…ごめん、手塚、不二、リョーマ…』




ちらっと見た3人は、何か言いたそうな顔のままで、あたしを見ていた。

苦しそうに哀しそうに、あたし達を見ていた。


(辛いかもしれない、だけど、傷付いて欲しくないんだよ…)


ただ、あたしはそれだけを思って息を吐いた。

それと同時に、がチャリとドアが開く。

振り返って見れば、そこには満足そうに今井がいた。




「あはぁ〜?無事だったんですねぇ〜?まあ、いいやぁ、朔センパイいい気味ですねぇ?」

『そうか?あたし的にまだ余裕だな。』

「そぅですかぁ〜?じゃあ、もっともっと堕ちてくださいよぉ!」




あはっ、と笑ってボールの入った籠を手にする。


(また、か。)


今井が勢いよくそれをばらまくのを、あたしはひとり、冷静にみていた。




キャァァアアア!!!!!

『くっだらねぇ…』




ひとり、そうつぶやく。それは奇声に掻き消された。


(なにもできねぇこと程つまんねぇことはねぇな…)


そしてバタバタとこちらに向かってくる足音。

デジャブだ…そしてバタンと開かれるドア。










次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ