□全くもって、上手くいかない
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5時間目、授業なんて今頭に入らなくて。

さっきの事、これまでの事、これからの事。

それだけが頭をめぐってた。



最初に気づいたのは、由梨の変化で。

それは確かに、恋するアレで。

俺にとって由梨は妹分のような親友のような悪友のような、兎に角大事な奴で。

恋愛感情は小せェ時から居たからか、持たなかった。

でも、確かに彼女は大事な、大切な奴で。

だから、そんな変化もどこか兄貴のような感覚で見ていて。


ただ、由梨が幸せならいいと。


そう思っていたのに。

彼女が好きになったのは水谷で。

水谷を見てれば、水谷自身もソレをしていて。

嫌な予感がした。

その相手の篠岡も見れは、同じようにソレをしていた。

相手は、阿部。で、駄目押しに、阿部は由梨が好きで。

俺は、愕然とした。

んなドラマみたいな、馬鹿みたいなの要らなかったのに。

ただ普通に幸せになってくれれば良かったのに。

そうはならなくて。

そんな事知らずに、4人は仲良くなって関係が出来てしまった。

いや、知ってても出来てしまった。

それから、あいつは天国も地獄も見るようになった。

仮面を貼り付けて相談なんか受けなきゃいいのに断われなくて好きな奴の恋バナ聞いてアドバイスして。

それが幸せならいいけど、んなわけない。

必ず泣きそうな顔するくせに、我慢して抱え込んで溜め込んで。


隠して隠して。
騙して騙して。
気付かない振りをして。
見えてない振りをして。
自分の心を我慢して……


ソレを繰り返して。

俺だって、そんな顔見たくない。

だけど、俺自体にも全員から相談なんて受けて。

気付いてる阿部と由梨は辛そうで、知らない何も知らない水谷と篠岡は無知で。

俺もまた、何も出来ない。






全くもって、上手くいかない

俺はただ、ただ由梨が幸せなら良かったのに。
このままじゃ、何も誰も上手くいかない。



だから恋愛は難しくて…






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