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□17 仲直
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ガチャリ、と音を立てて開く部室のドア。
横目でちらりと見れば、案の定今井千春な訳で。
(あー…今から平部員のフォーム見にいこうかと思ったのに。
なんつー、タイミングの悪い…)
はあ、と小さくため息をついたと同時に今井はニヤニヤと満足そうな顔で口を開いた。
「随分とぉ、汚れましたねぇ〜?朔センパイ〜?」
『お陰様でね。』
あれから、ちょくちょく呼び出しがあるわけで。
その辺のは軽く寝てもらえば良いんだけど、レギュラーにはそうも行かず。
結局殴られるわけで、身体中は青痣だらけ。
んな所為で、夏前だって言うのに長袖着てなきゃいけないし…非常にいい迷惑だ。
その青痣がちょくちょく袖やらなんやらから見えるから困る。
今井はそれを見て、さらに嬉しそうに笑う。
「センパイもあれですよねぇ、千春に楯突かなければ良かったんですけどぉ〜?」
『…勘弁。絶対嫌だね。アンタみたいのに付く気はないから、まったく。』
「〜〜〜〜〜っ!本当にムカつくぅう!随分と余裕なようねぇ〜?」
『事実だし。』
「あったまきたぁ、朔センパイなんて殴られちゃえばいいんだぉ!」
『ったく…』
「キャァァァァアアアアアアッ!!!」
『ワンパターン過ぎンだろ…』
同じようにワンパターン。
正し今回のオプションは、タオル(しかも洗いたて)をワザと床にばら撒き靴で踏みつけて、倒れたフリだが。
まあ、目の悪いアイツラから見たならばあたしが今井を突き飛ばしてタオルをワザと踏みつけたように見えるんだろう。
…実際あたしは座ったままだし、踏んだ靴跡は明らかあたしの大きさじゃないし、方向も今井向きなんだけど。
あたしはもう一回ため息をついてから、お決まりとなった足音を耳に入れながら今井を覚めた目で見てた。
(なんか…このパターン飽きてきたな、まったく。)
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