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□27 圧倒
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扉の向こうは景吾に任せて、ゆっくりと手を放して扉が閉じる。
そのまま歩き出し、人影の少ない部室から少し離れたそこであたしは足を止めた。
それと同時に“それら”も足を止めてじっと息を潜め、あたしを観察する。
(…甘い、甘過ぎんだよっ…)
それにあたしはようやくゆっくりと口を開いた。
『おい、下手糞共。出て来いよ。』
「「…」」
その声は、冷たくてそして怒りの篭りよく響く。
一瞬でその場の空気は、冷える。
それでも、相手は姿を見せる様子がない。
『…出て来いっつってんだよ、尾行も満足に出来ねェとは大した事ねェんだからなァ!それとも…、怖くて出てこれねェのかァ?ア"ア?』
「「っ…」」
更にキレてドスの効いたあたしの声が、その場所に重く響く。
息を呑む音が聞こえたものの、やはり動く様子もなく観察してくるだけ。
(イラつく、イラつく…イラつくイラつくイラつくイラつくっ!!)
あたしの中で、何かがゆっくりと解けていき手に【それ】を持つ。
『もう、いい。力付くで這い蹲らせてやるっ!!』
「「!?」」
『大人しく出て来いや。変なこと考えんなよ、お前らの身体はオレの指1本で木っ端微塵に切り刻める。』
「「…っ、」」
あたしは一瞬にして、愛用の鋼糸で真っ直ぐに相手を手玉に取った。
彼らの身体中は、この切れ味最高のあたしの鋼糸が巻かれている。
ザッ、ザッ、と地を蹴る音がふたつ響き、それと同時に影が現れる。
理解した様子で目の前に、同い年に近い顔の似た男子が現れる。
ひとりは、肩までの良く跳ねた金髪に深く綺麗な翡翠色をした瞳。
もうひとりは、肩甲骨辺りまでのウルフ気味の金髪に同じく深く綺麗な翡翠色の瞳。
(ふーん…双子…、あれか。)
彼らはあたしを睨むように見る、それを睨み返してあたしは口を開いた。
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