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□28 安否
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校門まで走り、そこに止まっていた景吾の車…ベンツに乗り込む。
そこに景吾と忍足が乗り込んでドアが閉まり、青学に向かって走り出す。
『で、この車は景吾のだから景吾が付いて来るのはしょうがないにしても…何故忍足侑士も来るんだ。』
「なんや、居たらあかんのか?景ちゃんとふたりきりが良かったん?」
『別にどっちでも。まあ、いいや。ふたりとも、ありがと、な。』
「「何がだ。/なんや。」」
『あたしをひとりにしないように付いて来たんだろ。』
「「当たり前だろ/やろ。」」
ふたりが声をハモらせて言うもんだから少し可笑しくて笑う。ふたりはお互いを見合わせて訝しげな顔をしながらまあいいか、と肩を下ろす。
それを見てから、ふたりの許可を得てから携帯を取り出してひとつの場所へかける。
《もしもし、朔かい?》
『ああ、恭弥。急用で頼みたいことがある。』
《行き成り連絡して来たかと思ったら何なのさ。》
『頼む、シャマルを連れて青学に来て欲しい。』
《…何か起きたの?》
『…仲間に麻薬を投与された可能性が出た。頼む、時間が無いんだ。』
《判った、直ぐに向かうよ。》
『ありがと、校門で落ち合おう。』
《…後で理由聞かせてもらうからね。》
『うん、判ってるさ。じゃ、後で。』
ピ、と音が鳴って電話を切る。
ここから青学まで、あと10分切った。並盛から青学まではバイクで5.6分。準備もあるから同じ時間くらいに付く。
着いてからの事を頭の中に入れておこうとふたりを見る。
「今のは…」
『あたし側の仲間。医者を連れて来て貰うわけ。で、ふたりとも青学に着いたら…』
「中まで入るぜ。馬鹿のレギュラー陣を拝んでやる。」
「その醜いオヒメサマっちゅーのも見て見んのもオモロイやろ?」
ふたりはニヤリと口元を上げて笑う。
その様子に思わず呆れ気味に見てしまうけれど、それが彼らの優しさだって知ってるから。
窓の外を見ながら口を開く。
『青学に手を上げんなよ。』
「「ああ。/了解や。」」
『――…彼らは見抜けなかった訳じゃない。優しすぎただけだ。』
「「!っ……」」
そう言ってからは沈黙が走る。
(…そう、ただそれだけ。)
どれくらいかは判らないけれど、それから青学に着いてあたしは1番に飛び降りた。
『先に行くっ!恭弥!シャマル!こっちだ!』
「…無意識なんやろか。」
「アイツは自分で思ってるより自己犠牲の馬鹿なんだよ。あん時だって…」
「景ちゃん、自分…」
「うるせえ、景ちゃん呼ぶな。行くぞ。」
「…おん。」
そして2手に分かれて、朔達はさくらととものところへ。景吾たちは部室へと向かう。
それぞれに色々な気持ちを抱えて。
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