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□29 激怒
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ガチャリとドアノブを捻って部室のドアを開ける。
勿論、全員の視線があたしに向けられる、その中には殺気混じった視線も感じる。
その様子にちらりと景吾と忍足を見てからふっと一呼吸おいて口を開く。
『…はろーはろー、レギュラー他。』
「…そんな入り方で良いわけ?」
『別に、どう入ったって結局…』
「てめぇ、帰ってきてなんだよそれ!」
「千春に仕事押し付けやがってっ!」
『…こーなるから。』
指を指してそういえば、恭弥の眉が物凄い勢いで眉間に皺を作る。
その様子に恭弥の目を見ながらトンファーに伸ばした手をとって首を振る。
それからこれからやられることに気付いて、恭弥をあたしから押し飛ばして遠ざける。
その瞬間に頭の上からつま先まで水…いやドリンク塗れになる。目の前には空になったドリンクを持った海堂、桃城。
景吾や忍足、恭弥は小さく息を呑んでから二人を睨み付けるのが判ってあたしは彼らとアイコンタクトをとる。
「その言い方ムカつくんだよ。」
「事実だろーが。ちゃんと仕事しろよ。」
満足そうににやりと笑ってあたしを見下すように見る、ふたり。
あたしは気にする様子もなく、掌や唇についたドリンクをぺろりとなめる。
それから、ふっと目を細めてソイツを睨む。
『あー、あー。これ、アクエリじゃん?…仕事、出来ないンすねー?』
「…っ。」
「お前が割合を書いた紙盗んだんだろ?」
『盗んでねぇし、つかメモがないと出来ない無いなんてどんだけ効率わるインすかー?』
「「「(キレ始めてる(わ)。)」」」
笑っているのにちっとも笑っていない朔の笑みに味方は気付く。
が、騙されたやつらはそれに気付かずに睨みを止めない。勿論、愚かな偽姫も。
『まあーいいや。そんなことより、【オレ】今イラついてんだよ。理由…判るよねぇ、今井?』
その声はさっきよりも一層低く、とても冷たい。視線も痛いほどに。
それほどに朔はマジでキレ始めてる。
今井はその朔の様子、オーラに本気でビクリと肩を揺らし怯んだ。
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