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□俺の最初で最後の最低な賭け
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放課後、部活しながらも今日はどうしてもいまいち集中できてなくて。
時計ばかり気にして校舎を見る。
理由はわかってるけど、本当に俺らしくねェ。
三橋も挙動不審な俺に気づいてて、いつも以上にビクビクしてやがる。
いつもの俺ならそれに向かって怒鳴るんだろうが、今日はしなかった。
(つか、この俺が言える状況じゃねェし…)
時計を見てそろそろ休憩の時間と見計らって、モモカンが声をかけた。
そして予想していた通りにモモカンが俺を呼んだ。
それに帽子を深く被って、駆け足で駆け寄る。
「阿部君、今日、らしくないよ?校舎に何かあるの?」
「忘れ物してきちまってて…取って来ても良いっすか?」
「…しょうがないね。丁度休憩だし、そんなに気になるんだったら行って来ちゃいなさい。」
「っす。あざーっす。」
あらかじめ考えていた言い訳をモモカンに話した。
許可が下りると帽子を取って軽くお辞儀をして校舎…図書室に向かう。
その後ろでモモカンが「まあ、頑張りなさい。」って言ったのは聞こえなかったことにしたい。
(うっわー、ばれてるし…俺ダッサ。まあ、いいや。許可してくれたんだし。)
これからすることが何故かばれているようで、恥ずかしいなんて思いながらも向かう。
勿論、篠岡が俺を見ているのも、その篠岡を水谷が見ているのも見えていた。
それを見てから俺は心の中で瀬川に謝る。
(俺は今から最悪なことをする…)
判っていてもやることを決めた俺は罪悪感を吹き飛ばすように頭を振って図書室のまえに立つ。
今から賭けだな、なんて他人事のように考えて深呼吸をしてから扉を開けた。
その音に導かれるように瀬川が振り返って、その瞳が俺を捉えた。
それを見て中に入って扉を閉めて彼女に近寄った。
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