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「ああ!そうだった!」

『ん?どうしたの、なっちゃん。』




次の日=火曜日、の昼休み。

今日こそ、あやかの本当の図書当番の日だから昼休みを図書室で過ごす。

勿論、姉のように慕う捺先生こと、なっちゃんと一緒に居た。


(お姉ちゃんと呼んで欲しいと言われたが、その時の1回で我慢してもらった。いや、だってお姉ちゃんは恥ずかしすぎる…)


で、昼休みもあと15分と言うところでなっちゃんが思い出したように声を出した。

それに少し驚きながら聞き返せば、ごそごそと資料を探し、その1枚を渡される。

その資料は、貸した本の返却期間が過ぎた人への返却を促す、所詮催促状だった。




『催促状?何でまた…』

「それ、昨日の担当のクラスの子に渡して貰おうと思ったんだけど…昼休みは職員室に忘れちゃうし、放課後はあやかちゃんが来たからここに仕舞ったままで、今日担任に渡せなくてね。」

『え、つまり私が渡しに行けと?』

「ごめんね?でも、その子もう1ヶ月近く借りたまんまでね…そろそろ返して欲しいのよ。」




へー、と曖昧に返しといてもう1度その紙に目を落としてその犯人さんの名前を見る。

と、同時にすこーし(実際はかなーり)自分が嫌な顔をしてしまったのを感じた。


(…いや確かに見た目からと言いますか、あの性格的にそうかも知れないけどさ…、いや、でも…マジですか。)


その紙に書かれているのは、またまた見た事のあるテニス部のお名前。

レギュラーの中でたったひとりの2年エースになる予定の【悪魔(デビル)】こと、切原赤也。


(ああ、なんだか頭痛がする。嫌な予感しかない。私に平和で平凡を下さい。そっとしといて下さい…、いやマジで。)


余程嫌な顔をしていたのか、なっちゃんが心配そうにあやかの顔を覗く。




「どうしたの?この子、嫌い?」

『…嫌いというか…、だってなっちゃん。私の学年判ってマスカ?』

「いやね。それくらい覚えてるわよ。2年生でしょう?」

『うん、で…彼は1年でしょ。2年が1年の教室行くってかなり注目されるじゃん。』

「そうだけど、1年生が2年生の教室に行くよりはマシよ?」




(いや、確かにそうですけどもっ…)


強気で言い切ったもののなっちゃんに効果はいまひとつ…いや、効果がなかったようだ。

あやかちゃんなら大丈夫。の一言で片付けられ、時間がないわ。と言って追い出された。

手には切原赤也宛ての催促状がしっかりと握らされていた。

どうやら、逃げ道は用意されていないらしい。













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