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□39 観戦
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氷帝vs青学から10分の休憩後、立海vs氷帝の練習試合が始まる。

黄色いそのジャージと水色のジャージがネットを挟んで横一列に並ぶ。

その先頭は勿論、




「連チャン大丈夫かい?」

「アーン?余裕かァ、幸村。嘗めてんじゃねェよ。」

「ふふ、そうだね。じゃあ始めようか。」




部長の幸村精市と跡部景吾。

【神の子】と【帝王】だったかな。

ふたりは余裕そうに口元を上げてから、全員で挨拶を交わして左右に分かれる。

青学はほぼ落ち込んだままの状態でこちらの様子を見ていた。




『この試合とも見比べてくれよ?…自分たちに足りないものに気付け。』




その青学に問いかけるように独り言をポツリと零した。

後ろに侑士の気配を感じたけれど、侑士は声をかけてくることは無かった。

それに感謝しながら目を動かす。

今井が青学を気にしながらもこちらに目を向けている。

どうせ、立海と氷帝を手に入れることしか考えてないんだろう。



(アイツにとって大事なのはテニスじゃない。所詮【顔】重視のただの面食いミーハーだ。)



今井から目を離してコートに移してから瞼(まぶた)を下ろす。




『…だから、許せない。』




自分の欲望のために自分が何をしたのかわかってないから。

自分が彼等の何を壊したのか、理解していないから。



(だから、あたしは…オレはお前が嫌いなんだ。今井。)



それの所為でどれほど傷ついた奴が居るのか、どれほど傷付けられたのか。

自分は関係ないと、白を切るような態度が見えるから。




『嫌いだ。……お前は絶対許さねェ。』




お前だけは、そこは聞こえないようにと更に声を落として低く小さな声で呟いた。

瞼(まぶた)をゆっくりと上げ、自然と下がっていた顔を上げて、コートを見る。



(今は、この試合を楽しみだけだ。)



少しだけ口元を緩めて、そのコートからその場に立つふたりに目を向けた。

そして試合(ゲーム)が始まる。



第1試合(ゲーム)はS(シングルス)3

真田弦一郎vs樺地崇弘










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