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□44 勝負
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朔のニヒルなその笑みにゾクリと肩を震わせながらも、乱れた息を整えながら睨み続けた青学。
それに表情を変えずに『で?』と声を出せば青学はごくりと唾を飲んだ。
口を開いたのは勿論、桃城で、馬鹿にされたままが気に食わないのか睨みながら啖呵を切った。
それにもう一度口元を上げてからくるりを振り返ってこっち側のベンチへとすたすたと進む。
それにこっち側の全員がついて、ベンチを囲むように半円に立った。
『…練習、邪魔しちゃって悪いな。』
「アーン?何言ってやがる。今さらだろーが。」
「ふふ、気にしてないよ。正直、俺たちもそろそろ限界だったしね。」
「気にする必要は無い。」
『…ん。ありがと、景吾、精市 国光。…さてと、用意はいいか、我等がファミリー?』
へらりっと微笑みかけてお礼を言う。
それからボンゴレのみんなを見つめて、不敵に笑いかけながら質問する。
「極限に調子は万全だ!見せ付けるには絶好の時だ!」
「ははっ、先輩やる気ッすねー!まあ、オレも朔(ダチ)馬鹿にされたのは、許せないのなー。」
「けっ、なんであろうと10台目の前に立ちはだかるモンは果たすだけだ。朔の前にもな。」
「あはは…、でも、うん。頑張るよ、朔。」
「…わたしは、…負けない。」
テニスの試合を頼んだ5人が、目の色を変えてあたしを見つめた。
その目には覚悟。迷いの無い、強みの色が見える。
それにふっと口元を上げてから、恭弥とベル、スクアーロに向き合う。
『恭弥は…、気付いてる?…あれ、咬み殺してきちゃっていいよ。そろそろ血が騒ぐんじゃない?ベルもね。』
「クス、流石。判ってるね、朔。こいつと一緒はアレだけど、まあいいよ。殺ってくる。」
「ししっ、それは王子のセリフだし。まーいーや、骨のある奴いっかなー?」
『…気絶のタコ殴りまでだからな。それ以上は許可しない。聞いてる?』
「…はいはい。」「りょーかい♪」
『…スクアーロは護衛続行。おーけー?』
「う"ぉおおおおぃ!わかったぞぉおお。」
おそらくヴァリアーの情報を手に入れた何処かの雑魚が、この周りに潜み始めている。
少なくともあたし 恭弥 ベル スクアーロ リボーン ザンザス(凪は気付いてないようだが骸)は気付いている。
今のところこっちに手は出してきてはいないが、先に駆除した方が安心できる。
それの始末をふたりに任せれば、ニヤリと笑いふたりはそれぞれに向かっていった。
『…さて、リボーン、アレは?』
「ああ、ここにあるゾ!」
『流石、仕事が速いな。ほい、みんなのラケット。』
リボーンはレオンを使って遠くにあった袋をこっちに持ってきて、あたしの前に降ろした。
ハテナマークを浮かべるみんなにへらっと笑って、中からお目当てのものを取り出す。
それは色とりどりのテニスラケット。
黄を了平、青を武、赤を隼人、橙を綱吉、紫を凪に持たせる。あたしのラケットは黒。
『さあ、試合(ゲーム)を始めようか!』
くるっとラケットを回してパシリと握ってから、朔はクィっと口元を上げた。
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