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□46 異様
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合宿最終日、その練習の様子は以前と比べて異なっていた。
立海、氷帝は勿論のこと、青学のメンバーもしっかりと練習に取り組んでいた。
それは当たり前のことだが、出来ていなかった青学にとっては大きな進歩。
「…ぁ……、…。」
『…、自分に合った練習しろよ。…お前らは体力の付け直しなんだからな。』
「…、…。」
正し、あたしの彼等のことが白紙になるわけでもなく…
(まず、謝られてないし。)
余所余所しい態度を彼等がとるから、それにあわせるように余所余所しくなる。
まあ、とりあえずこの際それはどうでもいい。
彼等がテニスに集中できるなら。けど現実は集中できてない。
どこかしら何かに引っ掛かっていて、あれこれと考えてプレーしているんだろう。
なにより、あたしは気にしないが、他に気にしてる奴がいる。
「…これで元通り?笑っちゃうなぁ。そしてそれで良いっていう朔も気に入らないよ。」
「俺様も納得出来ねェなァ。いけねェ事したら謝るのが筋だろーが、違うか?アーン?」
『精市、景吾…』
「朔は甘いんだよ、あんなの咬み殺せばいいのに。」
『恭弥。』
「ふん。わかってるよ。」
元々今井を良く思ってない彼等にとって、この微妙な状態は苛立つ限りなのだろう。
だけど、ひとつみんなが勘違いしていることがある。
『これで、いい?まあ、良いっちゃー良いよ。テニス部に関しては、ね。』
「「「……?」」」
『テニス部の事はリョーマ国光周助との約束であって本来のあたしの仕事の本質じゃない。あたしには、あたしの仕事が残ってる。』
「「「!」」」
全員が軽く目を見開いた。
あたしの口から仕事、という単語が出たから。
仕事の内容は教えていないっといっても過言じゃない。
ここまで、あたしが進めてきた。本当のお仕事。
【ファミリー特定、実験内容 被害情報 取り扱い麻薬情報 他悪事及び関係者をリストアップ後書類にて提出。学校潜入後証拠収集及び実際動いている者の生存状態での確保。】
それがあたしの…【紅い堕天使】(あたし)への依頼で9代目からの仕事。
目線を今井に向ける、今井はゆっくりとコートに背を向けて、苛立った様にコートから離れていくのが見えた。
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