☆☆

□45 勝敗
1ページ/5ページ






ラケットを担いだまま顔を凪に向ける。

すると凪は一瞬目を見開いた、その瞬間に彼女の身体を霧が包み込む。

その様子にテニス部は驚き、それを1度経験しているボンゴレ陣は目を見開く。




「…くる…、骸が来る…っ。」

「クフ、クフフ……、お久しぶりですね、ボンゴレ。そして、朔。」

『…む、くろっ…お前馬鹿かっ何でわざわざ有幻覚なんて…っ!』

「おや、僕の心配してくれてるんですか?」




霧の中から現れたのはさっきまでの小柄な少女ではなく、長身の少年。

ヴィンディチェの牢獄に入れられている、ボンゴレ霧の守護者“六道骸”

その登場に全員が驚きを隠せていない。しかし当の本人はいけしゃあしゃあと立っている。




『…骸はお前が認めてなかろうとボンゴレのファミリーで、あたしの仲間だ。…心配して何が悪い…』

「クフフ…随分素直ですねぇ。でも心配要りません、こうなるだろうと思い力を温存してたんですよ。」

『…まったく、相変わらず喰えない奴だよ、お前は。』

「クハハ、褒め言葉として貰っておきますよ。」




朔は呆れたような顔をしながらも、何処か嬉しそうだった。

その様子に、誰もがそいつが誰なのかを聞くタイミングを失っている。

そのことにあたしは気づいて、へらりと微笑みかける。




『だいじょーぶ。骸は仲間、危害は加えないよ。詳しいことは言えないけど、取り合えず仲間なんだ。』

「クフフ、よろしくお願いしますね。これから、彼女についても。」

「「「!」」」




ニコリと作った笑顔で爽やかに挨拶をして、ひとことそう付け加えた。

それの一言に自覚している全員がピクリと反応を示して骸を見る。

骸は作った笑顔でニコニコと微笑むばかりで表情は読めない。

その様子をあたしは見つめながら、そういえばと骸を見上げる。




『骸、お前…テニス出来んのか?』

「ああ、そのことですか。心配要りませんよ。クロームの目を通して見てましたから、ね。」

『あ、そ。まあいいや。恭弥が来る前に片付けないといけねェし、大丈夫って言うなら始めるぜ?』




肩に担いだラケットを前に持ってきて器用に回しながら、骸に問う。

恭弥の名にピクリと反応したものの、その問いに大丈夫ですよ。と頷いた。




『んじゃま、骸はサポート宜しくな、相棒。』

「…しょうがないですね、ええ。任せといて下さい、朔。」




器用に回していたラケットをパシリと握ってからコートに入る。

桃城と海堂は既に臨戦状態で威嚇を飛ばし、こっちもニコリと貼り付けた笑みで対峙した。








次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ