☆☆

□50 エピローグ
1ページ/3ページ





8月、全国大会決勝戦

試合会場のドームの外、そのテニスコート。

何人ものテニス選手が、息切れ切れに座り込んでいる。

足音を立てずに中に入り、その1人にバサッとタオルを頭に落とす。




「…見に行かねーのか、アーン?」

『行くよ。先にお疲れのアンタにプレゼントさ。』

「ハッ、言ってろ。」

『お疲れ、景吾。』




大量のタオルとドリンクをそこに放置し、言葉を待たずにコートを出る。

足を速めて、彼を先回りして客席直前の通路の壁に寄りかかる。

コツコツと靴音に顔を上げて、背を壁に預けたまま目を合わせる。




『お目覚めかな、少年。』

「…もち、待った?」

『ふふ、まーね。見せてくれる?面白い試合。』

「当たり前じゃん?最後まで見てってよね。」

『了解。行ってきな、青学ルーキー。』




その言葉を背に、リョーマはニッと笑って足を踏み出す。

客席へと姿を現せれば、みんながリョーマに視線を集める。




「…来たようだね。」

「…お 待 た せ。」




そして決勝戦が幕を開ける。

あたしも壁から背を離して、ある人の横へ移動する。

彼は横目であたしを見て、ゆっくりとその場を後にしようと足を動かす。

その前に、あたしは彼の着物の裾をしっかりと掴んだ。




「っ!」

『こんなところに居たんだ。……【Samurai】さん。Long time no see!How are you,Nangiro?』

「あははっ…ご機嫌いかが、お嬢さん。」




誤魔化すように笑った後、諦めたように言葉を発した彼。

8年前、“揺り篭”から姿を消した、ボンゴレ門外顧問チームの1人。

【Samurai】こと越前南次郎。








次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ